名寄せ(データクレンジング)とは?BtoB営業リストの無駄をなくし、DM反響率を高める方法

「顧客リストを統合したら、同じ会社が何行も出てきてしまった…」
「DMを送ったら、1社に3通も届いてしまいクレームになった」
BtoB営業やマーケティングの現場で、このような「リストの重複・不備」に悩まされることは少なくありません。
複数のリストを1つにまとめる作業を、IT用語では「マージ(Merge)」と呼びますが、単にデータを結合しただけでは使い物にならないのが現実です。
そこで必須となる工程が、今回解説する「名寄せ(データクレンジング)」です。
この記事では、なぜ名寄せが重要なのか、その基本概念から、重複リストを放置することで生じる具体的なビジネス損失について解説します。
名寄せ(データクレンジング)とは?
名寄せとは、複数のデータベースやリストの中に分散している情報を、「同一の人物・企業」ごとに整理・統合する作業のことです。
マーケティング用語では「データクレンジング(データの洗浄)」とも呼ばれます。
例えば、展示会で集めた名刺データ、Webからの問い合わせデータ、過去の取引先データなど、出所がバラバラなリストを1つの「営業マスターリスト」にまとめる際に必ず発生する作業です。
なぜ「マージ(結合)」だけではダメなのか
Excelなどのコンピューターは、人間のように「空気を読む」ことができません。
たとえ人間が見れば「これ、同じ会社だよね」と分かるデータであっても、一文字でも違いがあれば「全く別のデータ」として処理されてしまいます。
単純にファイルを結合(マージ)しただけでは、重複だらけの「汚れたリスト」が出来上がり、営業活動の効率を著しく下げてしまうのです。
BtoBリストでよくある重複パターン
法人リストの名寄せを難しくしているのは、以下のような「表記ゆれ」です。
| パターン | 具体例(コンピューターは別物と判断します) |
|---|---|
| 法人格の表記 | 株式会社〇〇 / (株)〇〇 / 〇〇(株) / ㈱〇〇 |
| スペースの有無 | 〇〇商事 営業部 / 〇〇商事営業部 |
| ビル名の有無 | 東京都港区〇〇1-2-3 / 東京都港区〇〇1-2-3 △△ビル5F |
| 数字の全角半角 | 1-2-3 / 1-2-3 |
| 社名変更 | (旧)メタ・プラットフォームズ / (新)Facebook Japan ※これは知識がないと紐づけできません |
BtoB営業で「名寄せ」をサボると起きる3つの悲劇
「多少重複していても、数件くらいなら問題ないだろう」
その油断が、のちのち大きな損失を招きます。名寄せを行わずに営業活動を開始してしまった場合に起こる、代表的な3つのリスクを紹介します。
DM・郵送コストの垂れ流し
最も分かりやすい損失はお金です。
例えば、1通100円(印刷・発送費込)のDMを10,000件送付するとします。もしリストの中に10%の重複が含まれていたらどうなるでしょうか?
- 無駄になる通数: 1,000通
- 無駄になるコスト: 10万円の損失
リストの件数が多くなればなるほど、この「見えない損失」は膨れ上がります。名寄せを行うことは、そのままコスト削減(利益確保)に直結するのです。
企業のブランド毀損(信用低下)
同じ担当者の手元に、全く同じDMが2通も3通も同時に届いたら、相手はどう思うでしょうか?
- 「この会社は顧客管理もできていないのか」
- 「資源の無駄遣いをする企業だ」
- 「しつこいスパム業者ではないか」
このようにネガティブな印象を持たれてしまえば、せっかく良いサービスを案内していても、開封される前にゴミ箱行きになってしまいます。リストの品質は、そのまま企業の「品格」として受け取られるのです。
テレアポ・営業効率の悪化
営業チーム内でのトラブルも頻発します。
「Aさんが電話して断られた企業に、Bさんが(別データだと思って)10分後に電話してしまう」という二重架電(バッティング)は最悪です。
これは先方を怒らせるだけでなく、営業マンのモチベーションを下げ、チーム内の空気を悪くします。
CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入していても、元となるデータが名寄せされていなければ、システムは機能不全に陥ります。

自社でできる!Excelを使った簡易的な名寄せ方法
件数が数百件程度であれば、Excel(エクセル)を使って社内で名寄せを行うことも可能です。
ただ重複削除ボタンを押すだけでなく、事前に関数で「データのゆれ」を整えることで、精度は劇的に向上します。
ステップ1:関数で「表記のゆれ」を統一する
まずは、コンピューターが同一データだと認識できるように、全角・半角や余計なスペースを統一します。
元のリストの隣に新しい列を作り、以下の関数を使ってデータを整形しましょう。
全角数字を半角に、余計なスペースを削除(ASC・TRIM関数)
「1-2-3」のような全角数字を半角に直し、末尾に含まれがちな「見えない空白スペース」を削除する最強の組み合わせです。
=TRIM(ASC(A2))
※A2セルの値を、半角にして(ASC)、余白を取る(TRIM)という意味です。
「株式会社」などを削除して社名だけで比較(SUBSTITUTE関数)
「(株)」「株式会社」の違いを無視して、「ソニー」「トヨタ」といった固有名詞だけで重複判定を行うための処理です。
=SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(A2,"株式会社",""),"(株)","")
※これで「株式会社〇〇」も「(株)〇〇」も、ただの「〇〇」に変換されます。
ステップ2:整えたデータで重複チェックを実行
データが綺麗になったら、いよいよ重複を探します。
関数を使って重複を可視化する(COUNTIF)
「いきなり削除するのは怖い」という場合は、整形した列に対してCOUNTIF関数を使います。
=COUNTIF(B:B, B2)
※B列(整形後のデータ列)の中で、B2と同じものがいくつあるか数えます。
この結果が「2」以上であれば重複です。フィルター機能で「2以上」を抽出し、不要な行を確認して削除しましょう。
Excelの「重複の削除」機能で一括削除
スピード重視なら、整形後の列を選択した状態で、データタブの「重複の削除」機能を使えば一発です。
自社作業の限界(合併・統廃合は判別不能)
ここまでやれば、Excelでもかなりの精度で名寄せができます。
しかし、Excelは「文字の形」しか見ていません。以下のようなケースは、Excelではどうしても解決できません。
- 社名変更: 「旧社名」と「新社名」の紐づけ
- 合併・統廃合: 別の会社名だが、実は合併して同じ住所にある場合
- 入力ミス: 「サッポロ」と「サッポ口(漢字の口)」のような誤入力
これらを解決するには、最新の企業データベースと照合できる「プロのツール」や、人の目による判断が必要になります。
数千件以上のリストなら「プロのツール・代行」が正解
「リストが数千件以上ある」「表記がバラバラで手がつけられない」という場合は、外部のリソースを活用する方が、コストパフォーマンス(費用対効果)が良いケースがほとんどです。
リスト購入・提供サービスのメリット
もし、手元のリストが古すぎてメンテナンスが大変なら、いっそ「新しいクリーンなリスト」を入手するのが近道です。
リスト販売会社が提供するデータは、すでに名寄せやクリーニングが完了しています。
ターゲットとなる業種や地域の、最新かつ正確なリストを安価に入手することで、名寄せにかかる時間を「ゼロ」にし、すぐに営業を開始できます。
DM発送代行時の重複チェック
自社でDM発送作業を行っている場合、重複チェックも自分たちでやる必要がありますが、「DM発送代行業者」に依頼すれば、データの整備も任せられる場合があります。
例えば当社では、お預かりした宛先データに対して、専用ソフトによる重複チェックや住所不備の確認を行ってから発送することが可能です。
印刷・発送コストを抑えるだけでなく、面倒なリスト管理の手間からも解放されます。
▶【まとめ記事】BtoB企業向けダイレクトメール(DM)の始め方と成功法則へ戻る
まとめ:きれいなリストは成約率への第一歩
名寄せ(データクレンジング)は、地味な作業に見えますが、営業利益を最大化するための重要な戦略です。
- コスト削減: 無駄な発送費・印刷費をカット
- 信用維持: 「しっかりした会社」というブランドを守る
- 効率化: 営業マンの重複架電を防ぐ
「リストの整理に時間がかかって、肝心の営業ができない」となっては本末転倒です。
件数が少ないうちはExcelで、規模が大きくなればプロのツールや代行サービスを賢く使い分け、「売れるリスト」で効率的な新規開拓を行いましょう。
名寄せ・データクレンジングに関するよくある質問
- Q. 名寄せとデータクレンジングの違いは何ですか?
- A. ほぼ同じ意味で使われますが、厳密には「データクレンジング」はデータの不備(誤字脱字)を修正して綺麗にすること全体を指し、「名寄せ」はその綺麗なデータを使って重複を統合する作業を指します。名寄せはクレンジングの一部と言えます。
- Q. 無料の名寄せツールはありますか?
- A. 「Excel」が最も身近なツールです。他にもPythonなどのプログラミング言語を使えば自動化可能ですが、専門知識が必要です。完全無料で高精度なGUIツール(ソフト)は、セキュリティの観点からもあまり推奨されません。
- Q. 名寄せを行う頻度はどれくらいが良いですか?
- A. 企業情報は年間約20%が変わると言われています。最低でも「半年に1回」、または「大型のDM発送を行う直前」には必ず行うことをおすすめします。
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