DSP・SSP・RTBとは?Web広告配信の仕組みを図解でわかりやすく解説|BtoBでの活用事例
「DSP広告を始めませんか?と営業されたが、よくわからない」
「SSPやRTBなど、Web広告用語はアルファベットばかりで複雑すぎる」
多くのBtoBマーケティング担当者が、この「横文字の壁」にぶつかります。しかし、用語の定義を丸暗記する必要はありません。重要なのは、「私たちが普段見ているWeb広告の裏側で、どんな取引が行われているか」という仕組みを理解することです。
実は、あなたがWebページを開いた瞬間、0.1秒以内のスピードで「広告枠のオークション」が自動開催されているのをご存知でしょうか?
本記事では、DSP(広告主側)、SSP(メディア側)、そしてRTB(オークション機能)という3つの要素の関係性を、図解を用いて直感的に解説します。仕組みを知れば、BtoBマーケティングで「狙った企業にだけ広告を出す」といった高度な戦術が可能になります。
Web広告の裏側で起きている「0.1秒のドラマ」
【この章の要約】
かつてWeb広告は「枠」を期間買いするものでしたが、現在はデータに基づいて「人」に対して入札する形式が主流です。これを「プログラマティック広告」と呼びます。
昔は「枠」を買っていた、今は「人」を買う
インターネット黎明期、広告といえば「純広告(枠買い)」が主流でした。「Yahoo! JAPANのトップページに1週間掲載するのに1,000万円」といったように、特定の「場所(枠)」に対してお金を払っていました。
しかし、これでは「トップページを見に来た学生」にも「主婦」にも広告が出てしまい、BtoB企業にとっては無駄が多くなります。
そこで生まれたのが、ユーザーの属性や行動データをもとに、「特定の条件(人)」に対して広告を配信する技術です。「Yahoo!を見ている人のうち、都内の製造業勤務の人にだけ出したい」という要望が可能になったのです。
プログラマティック広告とは?
このように、データに基づいて、リアルタイムかつ自動的に広告枠の買い付けを行う仕組みの総称を「プログラマティック広告(運用型広告)」と呼びます。
これから解説するDSPやSSPは、このプログラマティック広告を実現するための「道具(プラットフォーム)」の名前です。
なお、DSPはあくまで数あるWeb広告手法の一つに過ぎません。リスティング広告やSNS広告など、他の手法も含めて比較検討したい方は、以下の全体像ガイドをご覧ください。
» BtoBのWeb広告選び方ガイド|種類一覧と費用対効果を高める戦略
【図解】DSP・SSP・RTBの関係性と仕組み
【この章の要約】
広告を出したい側のツール「DSP」、広告枠を売りたい側のツール「SSP」、そして両者を瞬時につなぐオークションシステム「RTB」。この3者の連携プレーを図解で紐解きます。
登場人物の整理(広告主 vs メディア)
まずは、それぞれの立場と目的を整理しましょう。

| 用語 | 正式名称 | 立場と目的 |
|---|---|---|
| DSP | Demand-Side Platform (デマンドサイド・プラットフォーム) |
【広告主側】のツール 「予算内で、できるだけターゲットに合う人に、安く広告を出したい」 |
| SSP | Supply-Side Platform (サプライサイド・プラットフォーム) |
【メディア側】のツール 「広告枠を、できるだけ高い単価で買ってくれる企業に売りたい」 |
覚え方のコツは、Demand(需要=出したい)とSupply(供給=売りたい)です。私たち広告主が操作する管理画面は「DSP」になります。
RTB(Real-Time Bidding)のオークションフロー
DSPとSSPの間で行われる入札方式をRTB(リアルタイム・ビディング)と呼びます。ユーザーがWebサイトを訪問してから、広告が表示されるまでの流れを見てみましょう。
- 訪問:ユーザーがWebサイト(SSPを導入しているメディア)を訪問する。
- リクエスト:SSPが「今、30代男性・製造業興味あり・都内在住の人が来ました!誰か広告出しませんか?」と各DSPに情報を送る。
- 入札:各社のDSPがデータを分析し、「その人なら10円出す!」「うちは20円!」と瞬時に入札する。
- 決定:SSPが最も高い金額(20円)を提示したDSPを勝者として選ぶ。
- 表示:勝ったDSPの広告がユーザーの画面に表示される。
驚くべきは、この①〜⑤の処理が、Webページが表示されるまでのわずか0.05秒〜0.1秒の間に行われていることです。これがアドテクノロジーの凄さです。
よく出てくる関連用語の解説(DMP・CDP)
【この章の要約】
DSPの効果を高めるための「データの箱」であるDMPと、近年注目されている顧客データ基盤CDP。それぞれの違いと役割を解説します。
DMP(Data Management Platform)とは
DMPとは、インターネット上の様々なビッグデータや、自社の顧客データを蓄積・管理・分析するプラットフォームのことです。DSP(配信ツール)の「頭脳」にあたる部分です。
- オープンDMP(パブリックDMP):
データ提供企業が保有する、外部のビッグデータ(年齢、性別、興味関心、他サイトの閲覧履歴など)。これを使うことで、まだ接点のない潜在層へのターゲティングが可能になります。 - プライベートDMP:
自社で保有している顧客データ(購入履歴、会員情報など)を格納する箱。既存顧客へのCRMなどに使われます。
最近話題のCDP(Customer Data Platform)との違い
最近はDMPに代わって「CDP」という言葉をよく耳にします。どちらも「データを貯める箱」ですが、目的が異なります。
- DMP:主に「広告配信」のために、匿名のCookieデータなどを一時的に活用するもの。
- CDP:主に「顧客理解・長期的な関係構築」のために、実名の顧客データ(誰がいつ何を買ったか)を永続的に管理するもの。
「広告で集客するために使うのがDMP」「集客後の顧客育成(LTV向上)に使うのがCDP」とイメージすると分かりやすいでしょう。
BtoB企業がDSPを使うメリットと「IPターゲティング」
【この章の要約】
なぜGoogle広告だけでなくDSPが必要なのか? その理由は「リーチの広さ」と「企業単位のターゲティング」にあります。特に企業のIPアドレスを活用して、特定の会社に所属する社員にだけ広告を配信する技術(ABM)は、BtoBの強力な武器になります。
Google/Yahoo!以外の層にリーチできる
GoogleやYahoo!のディスプレイ広告(GDN/YDA)は強力ですが、インターネット上のすべての広告枠を網羅しているわけではありません。
DSPは、複数のアドネットワーク(SSP)と接続しているため、Googleらがカバーしていない専門サイト、ニッチなブログ、特定のアプリなどにも配信可能です。「ターゲットが普段見ている業界特化サイト」にも広告を出せる可能性が高まります。
企業単位で狙い撃ち!IPアドレスターゲティング
BtoB企業がDSPを導入する最大の理由がこれです。「IPアドレスターゲティング(企業ターゲティング)」です。
企業には固有のIPアドレス(ネット上の住所)が割り当てられています。DSPの一部には、このIPアドレスと企業データベースを紐付け、「〇〇株式会社の社内LANからアクセスしている人」にだけ広告を出す機能があります。
- 活用例1:ターゲット企業のリスト(大手製造業100社など)を作成し、その社員にだけ自社の「製造DXツール」の広告を出す。
- 活用例2:既存顧客のIPを除外し、新規開拓のみに予算を使う。
個人情報を使わずに、特定の企業へピンポイントで営業活動(ABM)ができるため、非常に効率的です。

BtoBで代表的なDSPサービス紹介
【この章の要約】
国内外に数多くのDSPが存在しますが、BtoB企業におすすめの主要サービスを厳選して紹介します。
Logicad(ロジカド)
ソニーグループの技術力を活かした国産DSPです。AIによる高度な分析と、透明性の高いレポートが特徴です。過去にコンバージョンしたユーザーと似た行動をする人を探す「類似配信」の精度に定評があります。
MicroAd BLADE(マイクロアドブレイド)
国内最大級のシェアを持つDSPです。管理画面が使いやすく、中小企業でも導入しやすいのがメリットです。大規模なデータを活用した精度の高いターゲティングが可能です。
ADMATRIX DSP(アドマトリックス)
BtoBマーケティングにおいて特に人気が高いDSPです。国内最大級の企業IPデータベースを保有しており、「業種」「年商」「従業員数」などでセグメントを切って配信できます。「動態データ(興味関心)」と「企業属性」を組み合わせた配信が得意です。
DSPは「魔法の杖」ではない?導入の注意点
【この章の要約】
高機能なDSPですが、導入ハードルはGoogle広告よりも高めです。コスト面や運用体制など、事前に知っておくべき注意点を解説します。
最低出稿金額と運用コスト
Google広告やFacebook広告は「1日数百円」から始められますが、DSPはそうはいきません。
- 最低出稿金額:多くのDSPで「月額30万円〜」「50万円〜」といったミニマム予算が設定されています。
- 初期費用:アカウント開設やタグ発行に初期費用がかかる場合があります。
予算が月10万円以下の場合は、無理にDSPを使わず、まずはGoogleディスプレイ広告(GDN)などで十分です。
バナー制作の重要性
DSPは配信面が非常に広いため、様々なサイズのバナー画像が必要になります。また、知らないサイトに表示されるため、クリエイティブ(画像とコピー)の質が低いと、「怪しい広告」と思われてブランドイメージを損なうリスクもあります。プロによるデザイン制作が必要です。
また、DSPには「アドベリフィケーション(Ad Verification)」という機能も備わっています。
これは「公序良俗に反するサイトには広告を出さない(ブランドセーフティ)」や「本当にユーザーに見られているか(ビューアビリティ)」を自動検知する仕組みで、企業のブランドを守りながら配信できます。
「いきなり月30万円の出費は厳しい」「まずは少額からテストしたい」という場合は、無理にDSPを選ぶ必要はありません。1クリック数十円から始められる他の広告手法も検討してみましょう。
予算に合わせて選びたい方はこちら
まとめ:仕組みを理解して「人」に届ける戦略を
DSP、SSP、RTBという用語は難解ですが、要するに「データを活用して、欲しいターゲット(人)に、リアルタイム入札で広告を出す仕組み」のことです。
BtoBマーケティングにおいては、Google広告で基礎を固めた上で、さらなる拡大を狙う「次の一手」としてDSP(特にIPターゲティング)を検討するのが良いでしょう。
DSP広告に関するよくある質問
Q. GDN(Googleディスプレイ広告)とDSPの違いは何ですか?
A. GDNも広義にはDSPの一種ですが、Googleが保有する在庫(YouTubeなど)に特化しています。一般的なDSPは、Google以外の独自ネットワークにも配信でき、企業IPターゲティングなど独自の機能を持っている点が異なります。
Q. 自社運用は難しいですか?
A. DSPは管理画面が複雑で、専門的なノウハウが必要なケースが多いです。多くの企業は、DSP専業の代理店に運用代行を依頼しています。
Web広告で届かないターゲットには「FAX」で攻める
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本記事の執筆にあたり参照した公的情報・出典:
※本記事内のDSP/SSPに関する図解および解説は、各プラットフォームの一般的な仕様に基づき、弊社独自の視点で作成したものです。
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