マーケティングKPI完全ガイド|CPA・ROAS・ROIの計算式とBtoB広告の目安
「広告費を毎月かけているのに、本当に売上に繋がっているのか分からない…」
「CPA、ROAS、ROI…似たような英語ばかりで、どれを目標にすればいいか混乱する」
BtoBマーケティングにおいて、指標(KPI)の管理は「羅針盤」です。ここを見誤ると、効果の出ない広告に予算を使い続けたり、逆に「実は儲かっている広告」を停止してしまうリスクがあります。
本記事では、Web広告運用で必ず押さえるべき10の重要指標を完全解説。
単なる用語の意味だけでなく、「計算式」、「BtoB業界の合格ライン(目安)」、そして「数字が悪い時の改善策」まで、現場ですぐに使えるノウハウを網羅しました。
なぜBtoBマーケティングで「KPI」が必要なのか?
Web広告を運用する際、多くの人が「売上(受注)」だけを見てしまいがちです。
しかし、BtoBビジネスにおいて売上だけを追っていると、マーケティングの改善はできません。
KGI(ゴール)とKPI(中間地点)の違い
まず、目標設定の基本となる2つの用語を整理しましょう。
- KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標
最終的なゴール。「売上1億円」「新規受注100件」など。 - KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標
ゴールに辿り着くまでの中間目標。「商談数」「資料請求数」「クリック数」など。
KGI(売上)が未達だった時、KPIを設定していないと「何が悪かったのか」が分かりません。
「クリックが足りなかったのか?」「商談率が低かったのか?」といったボトルネックを発見するための健康診断ツールがKPIです。
BtoB特有の「タイムラグ」と「リード」の考え方
BtoC(通販や食品)であれば、広告をクリックしてその場で購入完了となるため、広告の効果測定はシンプルです。
しかしBtoBの場合、「資料請求(リード獲得)」から「受注」までに数ヶ月〜1年のタイムラグがあります。
そのため、広告の効果を測る際は、「受注したか」だけでなく、「見込みのあるリード(有効リード)がいくらで取れたか」という手前の指標を重視する必要があります。
【基礎編】広告運用の「基本4指標」を理解する

図解:ユーザーの行動プロセスと、各段階でチェックすべき指標
まずは、Google広告やFacebook広告の管理画面で必ず目にする、基本の4つの指標を解説します。
「数字が良い・悪い」を判断するためのBtoB業界の目安(基準値)も併せて紹介します。
① Imp(インプレッション数)
定義:広告が表示された回数。
役割:認知の広さ。「そもそも知られているか」を測る。
② CTR(クリック率)
定義:表示された広告がクリックされた割合。
役割:広告文やバナーの魅力度。
CTR(クリック率 / Click Through Rate)
計算式: クリック数 ÷ Imp × 100 (%)
ユーザーが広告を見たときに「自分に関係がある」と思ったかどうかの指標です。
CTRが低い場合、広告文がターゲットのニーズとズレているか、デザインが目立っていない可能性があります。
【BtoB広告のCTR目安】
- リスティング広告(検索): 3.0% 〜 5.0% で合格、1%以下は要改善。
- ディスプレイ広告(画像): 0.3% 〜 0.8% 前後が一般的。
CPC(クリック単価 / Cost Per Click)
計算式: 広告費 ÷ クリック数
自社のサイトへ1人を誘導するためにかかった費用です。
競合他社が多いキーワード(例:「SaaS 比較」など)ほど入札価格が高騰し、CPCは高くなります。
BtoBのビッグワードでは、CPCが1,000円〜数千円になることも珍しくありません。CPCを下げたい場合は、よりニッチな「ロングテールキーワード」を狙うのが定石です。
CV(コンバージョン数)と CVR(コンバージョン率)
計算式: CV数 ÷ クリック数 × 100 (%)
Web広告のゴール(資料請求、問い合わせ、セミナー申込など)に至った割合です。
CVRは「広告」ではなく「ランディングページ(LP)」の実力を表します。
【BtoBのCVR目安】
一般的に1.0% 〜 3.0%あれば優秀です。
※「ホワイトペーパーDL」などハードルの低いCVなら5%〜10%出ることもありますが、「お問い合わせ」なら1%前後が妥当なラインです。
【費用対効果編】CPA・ROAS・ROIの違いと計算式
基本指標の次は、いよいよ「お金(コストパフォーマンス)」に関わる重要指標です。
現場担当者、マネージャー、経営者で見るべき指標が異なるため、その違いを明確に理解しておきましょう。
CPA(顧客獲得単価 / Cost Per Acquisition)
「見込み客(リード)を1件獲得するのにいくらかかったか」を表す、BtoBマーケティングで最も重視される指標です。
例えば、広告費10万円を使って、資料請求が10件あった場合、CPAは1万円です。
このCPAが「自社の許容範囲内(許容CPA)」に収まっているかどうかが、広告運用の勝敗を分けます。
もしCPAが高騰して利益が出ない場合は、Web広告の種類自体を見直すか、より安価なFaxDMなどの手段を検討するサインかもしれません。
ROAS(広告の費用対効果 / Return On Advertising Spend)
広告費に対して「いくら売上が上がったか」の回収率を表します。
100万円の広告費で500万円の売上があれば、ROASは500%です。
- メリット:「売上」に直結するため、広告の貢献度が分かりやすい。
- 注意点:「利益」ではないため、原価率が高い商品だとROASが高くても赤字になる場合がある。
ROI(投資利益率 / Return On Investment)
広告費に対して「いくら儲かったか(利益)」を表す、経営者が最も重視すべき最終指標です。
ROIが100%未満(マイナス)であれば、投資として失敗していることになります。

役割によって「追うべき数字」は異なります。運用担当者がROIばかり気にすると現場が回らなくなるため注意が必要です。
【まとめ】3つの指標の使い分け表
どの立場の人が、どの指標を追うべきかをまとめました。
| 指標 | 日本語訳 | 担当者 | 活用シーン |
|---|---|---|---|
| CPA | 獲得単価 | 現場 運用者 |
日々の運用調整。 リード獲得効率の改善。 |
| ROAS | 費用対効果 | MG 部長 |
予算配分の決定。 売上貢献度の測定。 |
| ROI | 投資利益率 | 経営者 役員 |
事業の継続判断。 最終的な利益確保。 |
【応用編】LTVとCACで「将来の利益」を測る
「CPA(獲得単価)は安いのに、なぜか会社全体の利益が増えない…」
そんな時に見るべきなのが、単発の広告成果ではなく「顧客の生涯価値」を見る指標です。
特にSaaSやサブスクリプション、リピート商材を扱うBtoB企業では必須の考え方です。
CAC(顧客獲得コスト / Customer Acquisition Cost)
計算式: (広告費 + 営業人件費 + ツール代など) ÷ 新規顧客獲得数
CPAとよく似ていますが、CPAが「広告費だけ」を見るのに対し、CACは営業担当者の給与やインサイドセールスのコストなど、「1社を獲得するためにかかった総コスト」を指します。
Web広告で安くリードを取れても(CPA良)、その後の商談に膨大な手間がかかっているなら(CAC悪)、ビジネスとしては改善が必要です。
LTV(顧客生涯価値 / Life Time Value)
計算式: 平均顧客単価 × 収益率 × 平均継続期間
1社の顧客が、取引開始から終了までに自社にもたらす「利益の総額」です。
BtoBビジネスは一度契約すれば数年続くことが多いため、初回の受注額だけでなくLTVで評価しないと、広告予算を過小評価してしまう(アクセルを踏めない)原因になります。
ユニットエコノミクス(LTV > 3 × CAC)
「いくらまで広告費を使っていいのか?」の究極の答えがこれです。
健全なBtoBビジネス(特にSaaS)では、以下のバランスが黄金比率とされています。
LTV(生涯価値) > 3 × CAC(獲得コスト)
「獲得コストの3倍以上のリターンが見込めるなら、
もっと広告費をかけてシェアを取りに行くべき」という判断基準です。

SaaSやBtoBビジネスの黄金法則。「3倍以上」のリターンが見込めるなら、広告予算を増やしてアクセルを踏むべき局面です。
BtoB広告の「CPA相場」とシミュレーション作成法
「うちのCPA 15,000円って高いの?安いの?」
この質問に答えるためには、業界の相場と、自社の許容ラインを知る必要があります。
業界別・商材単価別のCPA目安
BtoBにおけるWeb広告(主にリスティング広告)のCPA相場は、商材の価格帯によって大きく異なります。
| 商材タイプ | 単価イメージ | CPA目安 |
|---|---|---|
| SaaS・クラウドツール | 月額 5千円〜3万円 | 5,000円 〜 15,000円 |
| コンサル・受託開発 | 案件 100万円〜 | 30,000円 〜 100,000円 |
| 製造業・部品資材 | 案件 10万円〜 | 10,000円 〜 20,000円 |
※あくまで目安です。競合性やCVポイント(資料請求か問い合わせか)によって変動します。
広告予算シミュレーションの作り方(手順)
上司やクライアントに「いくら予算が必要か」を説明する際は、「目標売上から逆算(リバースエンジニアリング)」して算出するのが最も説得力があります。
【計算例:月間売上300万円を広告で作りたい場合】
- 目標受注数: 3件 (客単価100万円の場合)
- 必要商談数: 10件 (受注率30%と仮定 → 3÷0.3)
- 必要リード数(CV): 50件 (商談化率20%と仮定 → 10÷0.2)
- 必要広告費: 50万円 (目標CPA 10,000円と仮定 → 50×1万)
結論:50万円の広告予算が必要です。
このように、KPI(受注率・商談化率)が分かっていれば、必要な広告予算は自動的に決まります。
数字が悪い時の「原因特定」と「改善施策」
KPIをただ眺めていても成果は上がりません。
「どの指標が悪いのか」によって、打つべき対策は明確に決まっています。症状別の処方箋を見ていきましょう。
CTR(クリック率)が低い場合
原因: ユーザーが広告を見ても「興味がない」と感じています。
- 対策① 広告文を変える: 「実績No.1」「3分で完了」など、具体的な数字やベネフィットを入れる。
- 対策② ターゲットを絞る: 関係のない検索語句で表示されていないか確認し、「除外キーワード」を設定する。
CPC(クリック単価)が高すぎる場合
原因: ライバルが多すぎる「激戦区」で戦っています。
- 対策① キーワードをずらす: 「在庫管理システム(ビッグワード)」ではなく、「在庫管理システム 食品工場向け(ロングテール)」など、具体的な複合語を狙う。
- 対策② 品質スコアを上げる: Googleは「検索語句とLPの関連性」を評価します。広告文とLPの内容を一致させることで、クリック単価を安く抑えられます。
CVR(コンバージョン率)が低い場合
原因: 広告で期待させておいて、飛んだ先のページ(LP)でガッカリさせています。
- 対策① ファーストビューの見直し: ページを開いた瞬間に「求めていた答え」があるか? キャッチコピーを広告文と揃えるのが鉄則です。
- 対策② 入力フォームの改善(EFO): 必須項目が多すぎませんか? BtoBなら「会社名」「氏名」「メアド」「電話番号」の4点に絞るのがベストです。
※詳細なLP改善テクニックについては、「BtoBランディングページの作り方」の記事をご覧ください。
CPAが高騰して下がらない場合
上記すべてを試してもCPAが下がらない場合、根本的な原因は「Web広告という手法自体が合っていない」可能性があります。
Web広告は「入札競争」の仕組み上、競合が増えれば必ず高騰します。
もし「CPA 1万円はきつい、もっと安くリードが欲しい」とお考えなら、Web広告以外の戦場(ブルーオーシャン)に目を向ける必要があります。
CPA高騰の救世主?「Web広告以外」の指標を見る
「リスティング広告のCPAが、3年前は5,000円だったのに、今は15,000円を超えている…」
これは、多くのBtoBマーケターが直面している現実です。
改善策をやり尽くしても数字が良くならない場合、視点を変えて「戦う場所(媒体)」を変える必要があります。
Web広告は「待ち」の媒体である限界
検索連動型広告などは、ユーザーが検索してくれるのを待つ「プル型」の広告です。
顕在層(今すぐ客)にリーチできる反面、競合他社も全員そこを狙うため、入札単価(CPC)は年々青天井に高騰していきます。
つまり、Web広告だけで戦い続ける限り、CPAを下げるには限界があるのです。
プッシュ型(FaxDM・メール)の圧倒的な安さ
そこで見直されているのが、企業リストに対してこちらからアプローチする「プッシュ型」の手法です。
Web広告と比較すると、そのコストパフォーマンスの差は歴然としています。
| 比較項目 | Web広告(クリック課金) | FaxDM(送信課金) |
|---|---|---|
| 1リーチのコスト | 1クリック 300円〜1,000円 | 1通 10円〜 |
| 競合状況 | 激化(オークション制) | 少ない(ブルーオーシャン) |
| 決裁者への到達 | 担当者が検索することが多い | 紙として経営者の手元に届く |
Webとプッシュ型の「ハイブリッド運用」が最強
「Web広告をやめてFaxDMにしよう」という極端な話ではありません。
「Webで顕在層を取りつつ、高騰した分のコストを安価なFaxDMで平均化する」のが、賢いマーケティング責任者の戦略です。
例えば、Web広告(CPA 2万円)とFaxDM(CPA 5,000円)を組み合わせれば、全体の獲得単価を大きく引き下げることができます。
正しく計測するためのツール設定(GA4・タグ)
最後に、これらのKPIを正確に計測するための「技術的な準備」について触れておきます。
ここが間違っていると、全ての計算が狂ってしまいます。
Googleアナリティクス4(GA4)のコンバージョン設定
現在のWeb解析の標準であるGA4で、必ず「イベント(送信完了など)」をコンバージョンとしてマーク設定してください。
これが設定されていないと、「どのページを見た人が問い合わせたか」を追跡できません。
リターゲティングタグ・コンバージョンタグの設置
広告媒体(Google広告、Facebook広告など)が発行する計測タグを、Webサイトの全ページに設置します。
これを設置することで、一度サイトに来たユーザーを追跡するリターゲティング広告が可能になり、CPAを改善する手助けになります。
パラメータ(UTMパラメータ)のルール化
「メルマガからの流入」と「FaxDMのQRコードからの流入」を区別するために、URLの末尾にパラメータを付けましょう。
このように設定しておけば、GA4上で「FaxDM経由のアクセス」だけを抽出して効果測定ができるようになります。
まとめ|KPIは「達成するため」に管理しよう
本記事では、BtoBマーケティングに必須のKPIについて解説してきました。
- 担当者は「CPA」を見る: 1件のリード獲得コストを適正に保つ。
- 経営者は「ROI」を見る: 広告費だけでなく、利益が出ているか判断する。
- 改善の近道は「原因特定」: CTR、CPC、CVRのどこが悪いか診断する。
- Webに固執しない: CPAが高騰したら、FaxDMなどのオフライン施策を混ぜる。
KPIは、あくまでゴールに辿り着くための「コンパス」です。
計算すること自体を目的にせず、「目標の売上を達成するために、今一番コストパフォーマンスが良い手段は何か?」を常に考え、柔軟に施策を選んでいきましょう。
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よくある質問(FAQ)
BtoBマーケティングのKPI管理について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q. BtoB広告のCPA(獲得単価)の目安はいくらですか?
商材の価格帯によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- SaaS・クラウドツール(月額課金):5,000円 〜 15,000円
- コンサル・システム開発(高単価):30,000円 〜 100,000円
- 製造業・資材(中単価):10,000円 〜 20,000円
これを超えている場合は、広告媒体の選定ミスか、LP(ランディングページ)の成約率不足が疑われます。
Q. CPAとROASの違いは何ですか?どちらを見れば良いですか?
「目的」によって使い分けます。
- CPA(獲得単価): リード(資料請求)獲得が目的の場合に見ます。「1件いくらで取れたか」というコスト指標です。
- ROAS(費用対効果): ECサイトなど、その場で売上が発生する場合に見ます。「広告費の何倍売れたか」というリターン指標です。
一般的なBtoB企業(リード獲得型)であれば、まずはCPAを最重要指標(KPI)にするのが正解です。
Q. リスティング広告のクリック率(CTR)が低いのですが、改善策は?
BtoBの平均(3%〜5%)を下回る場合、以下の3つを試してください。
- 具体的数字を入れる: タイトルに「導入3,000社」「3分で完了」などの数字を入れる。
- 【隅付き括弧】を使う: 広告文の冒頭を目立たせる。
- 除外キーワード設定: 「とは」「意味」など、購買意欲の低い検索語句で表示されないようにする。
Q. KPIはどのくらいの頻度で確認すべきですか?
Web広告の運用担当者であれば「毎日」、マネージャーであれば「週1回」、経営者であれば「月1回」が推奨頻度です。
ただし、AIによる自動最適化が進んでいるため、毎日の細かすぎる調整は逆効果になることもあります。日々の変動に一喜一憂せず、週単位のトレンドを見ることが重要です。
本記事の参考・出典元
-
・Google 広告 ヘルプ
(コンバージョン単価 CPA の定義、入札戦略に関する公式ガイドライン) -
・Meta ビジネスヘルプセンター
(広告費用対効果 ROAS の計算式とビジネス活用について) -
・経済産業省(METI)
(「経営指標・KPIの活用」に関する公開資料・レポート) -
・Google アナリティクス 4(GA4)設定ガイド
(コンバージョンイベントの設定と計測手法に関する技術ドキュメント)
※本記事内の指標目安(CTR, CVR等)は、上記公式情報の定義に基づき、一般的なBtoB業界の平均値および当社独自の運用実績を加味して算出しています。
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