BtoBランディングページ(LP)の作り方ガイド|問い合わせを倍増させる「鉄板構成」と「心理テクニック」

「Web広告を出したのに、クリックされるだけで問い合わせが来ない」
「FAX DMからWebに誘導したが、直帰率が高く成果に繋がらない」
多くのBtoBマーケティング担当者がこの壁にぶつかります。デザイン会社に依頼して、見栄えの良い綺麗なランディングページ(LP)を作ったのに、なぜ売れないのでしょうか?
その原因の9割は、LPの「構成(シナリオ)」にあります。
BtoBの購買心理は、個人向けのBtoCとは決定的に異なります。なんとなくお洒落なデザインを作っても、決裁者の心は動きません。
本記事では、SEOや広告からの流入はもちろん、アナログ営業(FAX・チラシ)と連携して成約率を最大化する「BtoB特化型のLP作成術」を徹底解説します。
目次
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この記事はBtoBマーケティングの一部(LP制作)について解説しています。
LPへの集客を含めた全体戦略については、以下の親記事で体系的にまとめています。
👉 BtoBデジタルマーケティング完全ガイド|FAX・メール営業との融合戦略
1. なぜ「綺麗なLP」でもBtoBでは売れないのか?(BtoCとの決定的違い)
LP制作において最も多い間違いは、「デザインから入ってしまうこと」です。
もちろん、信頼感を損なわない最低限のデザイン品質は必要ですが、BtoBにおいて重要視されるのは「かっこよさ」よりも「納得感(ロジック)」です。
「衝動買い」ではなく「納得買い」させるロジックが必要
個人の買い物(BtoC)は、感情や直感(衝動買い)で決まることが多いですが、企業の買い物(BtoB)は、企業の課題解決や利益向上を目的に行われます。
そのため、以下のような違いが生まれます。

図解:BtoC(感情)とBtoB(論理)の決定的な違い。BtoBのLPには「納得感」が不可欠。
| 項目 | BtoC(個人向け) | BtoB(法人向け) |
|---|---|---|
| 判断基準 | 好き・嫌い / 欲しい | 費用対効果 / 信頼性 / 実績 |
| 検討期間 | 即決〜数日 | 数週間〜数ヶ月(長い) |
| 意思決定者 | 自分ひとり | 複数人(担当者・上司・役員) |
つまり、BtoBのLPに必要なのは、感情を揺さぶるエモーショナルなコピーではなく、「なぜこのサービスが必要で、導入するとどれだけのメリットがあるか」を論理的に説明する構成なのです。
閲覧者と決裁者が違う「稟議の壁」を意識する
もう一つ忘れてはならないのが、「LPを見ている人(担当者)」と「お金を払うと決める人(決裁者)」が違うケースが多いという点です。
担当者が「このサービス良さそうだ」と思っても、上司に説明できなければ導入には至りません。
そのため、LP内には担当者が社内稟議を通しやすいような「武器」を用意しておく必要があります。
- 定量的な実績:「導入社数〇〇社」「コスト削減率〇〇%」などの数字。
- 権威性:「〇〇No.1」「〇〇賞受賞」「メディア掲載歴」。
- 導入事例:同業他社の成功事例(ロゴマークなど)。
これらの要素がないLPは、担当者止まりで終わってしまい、最終的なコンバージョン(成約)には結びつきません。
2. 成約率を高めるBtoB LPの「鉄板構成」テンプレート
では、具体的にどのような順番で情報を伝えればよいのでしょうか。
BtoBにおいて、奇をてらった構成は不要です。担当者が知りたい情報を、知りたい順番で配置する「鉄板構成」があります。

図解:BtoBランディングページの鉄板構成(迷ったらまずはこの順番で配置しましょう)
① ファーストビュー(FV):3秒で「自分事」と思わせる
LPを訪れたユーザーの約70%以上は、最初の画面(ファーストビュー)を見ただけで離脱すると言われています。
ここで伝えるべきは「誰の、どんな悩みを解決できるサービスなのか」の一点です。
- キャッチコピー:「〇〇の手間をゼロに」「売上を〇倍に」など、ベネフィットを直球で伝える。
- 権威性(No.1バッジなど):「ここなら安心だ」と一瞬で思わせる。
- CTAボタン:FV内に「資料請求」などのボタンを必ず配置する。
② ボディ(共感・解決):「そうそう、それで困ってた」を引き出す
FVで興味を持ったユーザーに対し、次に提示するのは「共感」です。
いきなり自社商品の説明をするのではなく、「こんなお悩みありませんか?」と顧客の課題を言語化してあげることで、「この会社は自分たちのことを分かってくれている」という信頼が生まれます。
その上で、「なぜその課題が解決できないのか(原因)」を指摘し、「自社ならこう解決できる(解決策)」という流れ(PASONAの法則の応用)を作ることで、自然と商品説明へと読み進めてもらえます。
③ クロージング(証拠・オファー):信頼を確信に変える
解決策を提示した後は、それが「本当である」ことを証明しなければなりません。ここが前述した「稟議の壁」を突破する重要パートです。
- 導入事例・お客様の声:顔写真や社名入りの感想は最強の証拠です。
- スペック・料金表:BtoBでは「要問い合わせ」よりも、目安でもいいので価格感がわかる方が親切です。
- よくある質問(Q&A):「導入期間は?」「サポートは?」などの不安を先回りして解消します。
3. 「アナログ×デジタル」連携で効果を出すLPのポイント
ここまでは一般的なWebマーケティングの話でしたが、ここからはFAX DMやチラシ、手紙といった「アナログ媒体」からLPへ誘導する場合の極意をお伝えします。
検索流入とアナログ流入では、ユーザーの心理状態が異なるため、以下の工夫が必要です。
FAX/チラシと「メッセージの一貫性」を持たせる
FAX DMの原稿で「コスト削減」を訴求したのに、QRコードから飛んだLPのトップで「機能の多さ」をアピールしていたらどうなるでしょうか?
ユーザーは「あれ? 思っていたのと違う」と感じ、瞬時に離脱してしまいます。
「入り口(FAX)」と「受け皿(LP)」のキャッチコピーは必ず一致させるのが鉄則です。
もし複数の訴求軸(コスト削減、時短、品質など)でFAXを送る場合は、それぞれの訴求に合わせた専用のLP(またはLP内の該当箇所へアンカーリンク)を用意するのがベストです。

図解:メッセージの一貫性(入り口と出口のキャッチコピーを揃えて離脱を防ぐ)
「検索窓」と「QRコード」からの着地をスムーズにする
アナログ媒体からの誘導には、主に「QRコード」と「検索窓(〇〇で検索)」の2つがあります。それぞれの注意点は以下の通りです。
📱 QRコードの場合(スマホ閲覧前提)
FAXを受け取った人がその場でスマホで読み取るケースが大半です。
LPが「スマホ対応(レスポンシブデザイン)」になっていることは絶対条件です。PC用の表示のままでは文字が小さすぎて読めず、機会損失になります。
🔍 検索窓の場合(PC閲覧前提)
「『〇〇システム』で検索!」と書く場合、そのキーワードで自社サイトが検索1位(またはリスティング広告枠)に表示されている必要があります。
指定したキーワードで検索しても自社が出てこなければ、競合他社に顧客をプレゼントすることになってしまいます。
4. 問い合わせを逃さない「EFO(入力フォーム最適化)」の極意
「LPの内容は読まれたのに、最後のフォーム入力で離脱された」
これは非常によくあるケースです。実は、入力フォームに到達したユーザーの約60%以上が、入力を完了せずに離脱していると言われています。
この離脱を防ぐ施策をEFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)と呼びます。BtoBにおいて特に重要なポイントは以下の2点です。
入力項目はどこまで減らすべきか?
営業担当としては「予算感」や「導入時期」「役職」など、事前に多くの情報を知りたいのが本音でしょう。しかし、入力項目が1つ増えるごとに、コンバージョン率は反比例して下がります。
初回接点(リード獲得)の段階では、以下の「最低限の4項目」に絞る勇気を持ってください。
- ✅ 会社名
- ✅ 氏名
- ✅ 電話番号(インサイドセールス用)
- ✅ メールアドレス(メルマガ・追客用)
住所は「郵便番号を入れたら自動入力」される機能を必ず実装し、ユーザーの手間を極限まで減らしましょう。
詳しいヒアリングは、アポイントが取れてから電話や商談で行えば良いのです。
ハードルを下げる「CTA(行動喚起)」の選び方
フォームの送信ボタン(CTA)の上に書かれている文言も重要です。
いきなり「商談を申し込む」や「見積もりを依頼する」といった重いアクションを求めていませんか?
BtoBの検討プロセスは長いため、今すぐ買いたい層(今すぐ客)ばかりではありません。情報収集段階の層(そのうち客)を取りこぼさないために、「ハードルの低いCTA(ソフトコンバージョン)」を用意しましょう。
| ハードル高(今すぐ客向け) | ハードル低(そのうち客向け) |
|---|---|
|
・お問い合わせ ・見積もり依頼 ・デモ体験申し込み ※成約には近いが、数は集まりにくい。 |
・資料ダウンロード ・導入事例集プレゼント ・ホワイトペーパー ※成約には遠いが、リード数は集まる。 |
5. 作って終わりではない!LPO(改善)とA/Bテスト
完璧な構成でLPを作ったとしても、最初から大成功することは稀です。
公開した後、実際のユーザーの反応を見ながら修正を加えていく作業をLPO(Landing Page Optimization)と呼びます。
ヒートマップツールで「熟読エリア」を知る
アクセス解析ツール(Googleアナリティクスなど)では「数字」は分かりますが、「ユーザーの気持ち」までは分かりません。
そこで導入したいのが、ユーザーがページのどこを見ているかを色で可視化する「ヒートマップツール」です。
- 赤くなっている場所(熟読):ユーザーが関心を持っている箇所。もっと詳しく書くか、上位に移動させる。
- 青くなっている場所(スルー):読まれていない箇所。削除するか、表現を変える。
「一生懸命書いた社長の挨拶」が全く読まれておらず、「料金表」だけが真っ赤になっている、といった残酷な現実が見えることもありますが、これを受け入れて改善することが成果への近道です。
まずは「キャッチコピー」と「ボタンの色」だけ変えてみる
改善といっても、ページ全体を作り直す必要はありません。
最も少ない労力で、最も大きなインパクトが出る箇所からテスト(A/Bテスト)を行いましょう。
- ファーストビューのキャッチコピー:
「コスト削減」訴求と「売上アップ」訴求、どちらが響くか? - アイキャッチ画像:
「人物写真(安心感)」と「グラフ・図解(実績)」どちらが良いか? - CTAボタンの色と文言:
「緑色」か「オレンジ色」か?「資料を見る」か「無料で資料をもらう」か?
BtoBランディングページ制作に関するよくある質問
- Q. 自社のホームページ(コーポレートサイト)とLPは何が違うのですか?
-
A. ホームページは「会社の顔」として会社概要や全商品を網羅するカタログのような役割ですが、LPは「特定の商品を売るため」に特化した1枚の長いチラシのような役割です。
ホームページは回遊(他のページを見ること)を促しますが、LPは「申し込みボタンを押すこと」以外の選択肢(リンク)を極力排除して成約率を高めます。
- Q. LPの制作費用や相場はどれくらいですか?
-
A. 依頼先によりますが、目安は以下の通りです。
・フリーランス・格安制作:10万〜30万円(テンプレート利用など)
・一般的な制作会社:30万〜60万円(オリジナルデザイン・構成案作成含む)
・コンサルティング付き:60万円以上(市場調査、LPO、広告運用代行など含む)
BtoBで成果を出すなら、ただ作るだけでなく「構成」に強い会社を選ぶのが重要です。
- Q. スマホ対応(レスポンシブ)は必須ですか?BtoBはPC閲覧が多いと思うのですが。
- A. はい、必須です。確かに業務中はPC閲覧が多いですが、FAX DMやチラシのQRコード経由でアクセスする場合、ほぼ100%スマホです。また、移動中にスマホで情報収集する決裁者も増えているため、スマホ対応していないLPは大きな機会損失となります。
まとめ:LPは「24時間働く優秀な営業マン」である
BtoBのランディングページは、単なるWeb上のカタログではありません。
あなたの代わりに24時間365日、顧客の悩みを聞き、解決策を提示し、商談のアポイントを取ってくれる「超・優秀な営業マン」であるべきです。
【本記事のポイント】
- BtoBは「デザイン」より「ロジック(納得感)」で構成する。
- 担当者を味方につけるために「社内稟議用の証拠」を用意する。
- FAXやチラシから誘導する場合は、メッセージの一貫性を守る。
- 入力フォームは極限まで簡素化し、まずはリードを獲得する。
LPという「受け皿」が完成したら、次はそこに質の高いアクセスを流し込む番です。
Web広告だけでなく、決裁者の手元に直接届く「FAX DM」を組み合わせることで、競合他社がリーチできていない潜在層を一気に獲得することが可能になります。
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