タクシーに乗車すると視界にさまざまな広告が目に入ります。タクシーは他の交通機関とは異なり、一度乗車すると目的地到着までの間プライベートな時間を過ごすことになります。リラックスした状態で視界に入った情報は、強く記憶されるでしょう。

そのため、乗客の興味を惹ける広告を展開できれば高い効果が期待できます。また、交通広告のなかでは唯一24時間広告塔になる点も特筆すべき点です。タクシーをよく利用する層から、BtoB向けの広告としても利用できます。

TAXI
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タクシー広告とは

タクシー広告はタクシーを利用した広告のことです。タクシーを利用するユーザーの属性から、経営層・富裕層・高齢者向けの広告手法として分類されています。また、乗車位置や年齢、性別といった情報からユーザー層を特定しやすい点も特徴です。

タクシー広告はその配置や形式により、さまざまな種類に分けられます。外部広告としては、車体全体を覆うラップ広告やドアのみに掲示するパネル広告があります。また、タクシーの屋根に取り付けられるトップライト広告も一般的です。これらは主に通行人を対象としています。

内部広告としては、座席の背面に取り付けられる小型の印刷広告や、乗客の目の前に広告を流すデジタルディスプレイがあります。これらはタクシー利用者を対象とした広告となります。

タクシー広告の仕組み

タクシー広告は、一般的に広告主が広告エージェンシーを通じてタクシー会社と契約を結び、決められた期間、タクシーの特定の部分に広告を掲示するものです。広告が掲示される場所、時間、およびタクシーの種類(例えば、都市タクシーか郊外タクシーか)により、広告費は変動します。

タクシー広告は、他のメディアに比べて比較的低コストで、広範囲にわたる視認性を提供するため、特に地方企業にとっては魅力的な広告手段となります。

広告の種類

タクシー広告にはさまざまな種類があります。その中でも主なものは以下の通りです。

カーラッピング広告

タクシー全体に広告を貼り付ける方法で、大きな視覚効果を持ちます。広告はタクシーが移動するたびに街中を流れ、広範囲にわたる視認性を提供します。カーラッピング広告は、斬新で目を引くデザインや鮮やかな色彩を活用することで、広告主のブランドやメッセージを効果的に伝えます。

ドアパネル広告

ドアのみに貼り付けられる広告で、カーラッピング広告に比べてコストは比較的低く抑えられます。ドアパネル広告は、タクシーが停車中や信号待ちの際に、周囲の人々の目に留まりやすく、効果的なブランド認知度を築くことができます。

トップライト広告

タクシーの屋根に設置され、夜間でも視認性が高いという特長があります。トップライト広告は、車内からの視界を遮ることなく、広告メッセージを周囲の人々にアピールすることができます。特に夜間や暗い場所での広告効果が高く、ブランドの存在感を高めることができます。

車内ディスプレイ広告

タクシーの内部に設置されるデジタルディスプレイを活用した広告で、乗客に向けた直接的な情報伝達手段となります。車内ディスプレイ広告は、乗車中の乗客に対して特定の商品やサービスを紹介したり、地元の観光情報やイベント情報を提供したりすることができます。また、デジタルなので、広告の内容やターゲットをリアルタイムに変更することも可能です。

これらの広告は、それぞれに固有の特性とメリットを持ち、広告主のニーズや予算、ターゲットオーディエンスにより選択されます。タクシー広告は、効果的なマーケティング手段として、広告主にとって魅力的なオプションとなっています。

メリットとデメリット

タクシー広告のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

高い視認性

タクシーは街中を動き回るため、広告は大きな視界に晒されます。特にカーラッピング広告やトップライト広告は、遠くからでも目立つため、広大なエリアでの露出が可能です。これにより、多くの人々に広告メッセージを届けることができます。

標的指向

タクシー広告は特定の地域、街区、またはルートに焦点を当てることができます。市内の特定のエリアやイベント周辺で広告を見せることで、ターゲットとなる顧客に直接訴えることができます。例えば、地域のイベントや観光地周辺での広告展開は、その場所に関心のある人々に対して効果的な広告手法となります。

コスト効率

ビルボードやテレビ広告などと比較して、タクシー広告は比較的低コストです。広範囲に広告を展開できるため、一人あたりの広告費用は非常に低いです。また、タクシー広告は長期間にわたって表示されることが多いため、広告効果が持続するという利点もあります。

しかしデメリットも存在します。

制限されたコントロール

広告が表示される場所や時間を完全にコントロールすることは難しいです。タクシーは必ずしも予定したエリア内で運行するとは限らず、そのため広告がターゲットの顧客に届かない可能性もあります。また、交通状況や天候によっても広告の露出が変動するため、予測が難しいという課題もあります。

保守的な広告

従来の印刷広告は動画やインタラクティブな要素を含むことはできません。これは特にデジタルネイティブな消費者にとっては、魅力が少ないかもしれません。タクシー広告は静的なメディアであるため、情報を更新したり、新しいキャンペーンを展開する際には制約があります。

以上がタクシー広告のメリットとデメリットの一部です。タクシー広告を活用する際には、これらの要素を考慮し、効果的な広告戦略を構築することが重要です。

タクシー広告会社

以下に、日本における主要なタクシー広告会社の一覧を詳しくご紹介いたします。

アドタクシー

アドタクシーは、タクシー広告の専門会社です。全国的なネットワークを持ち、広告主のニーズに応じた柔軟な広告プランを提供しています。車内広告だけでなく、カーラッピングやデジタルディスプレイ広告など、多様な広告手法を取り入れることが可能です。また、ターゲット層や地域に合わせたターゲットマーケティングも得意としており、効果的な広告キャンペーンの実現に貢献しています。

タクシーメディアジャパン

全国のタクシー会社と提携し、タクシー広告を手掛ける企業です。カーラッピング広告からデジタルディスプレイ広告まで、幅広い広告方法を提供しています。特に、デジタルディスプレイ広告に力を入れており、最新の技術を駆使した鮮明な映像で広告効果を最大化します。さらに、広告主のニーズに合わせてカスタマイズされた広告プランを提案し、ターゲット層へのアプローチにも緻密に対応しています。

キャブアド

キャブアドは、大手のタクシー広告会社です。都市部から地方まで、広範な地域での広告掲示を行っています。企画から制作、設置まで一貫して対応しており、広告主のニーズに合わせた効果的な広告キャンペーンを実現します。また、広告効果のモニタリングや分析も行い、効果測定に基づいた最適な広告戦略の提案を行っています。

タクシーネットワーク

タクシーネットワークは、タクシー広告に特化した企業です。広告主の目的に合わせた効果的な広告メッセージの企画から制作までを一貫して行います。また、広告の設置場所やタクシーの走行エリアの選定も行い、広告の露出を最大化します。さらに、タクシー車内での広告表示に加えて、タクシー会社との連携によるプロモーション活動も行い、ブランド認知度の向上に貢献します。

タクシービジョン

タクシービジョンは、特にデジタルディスプレイ広告に力を入れている会社です。デジタル広告のためのコンテンツ制作も手掛けています。最新のデジタルテクノロジーを駆使し、鮮明な映像やインタラクティブな広告展開を行います。また、広告の効果測定や分析にも力を入れており、広告主のニーズに合わせた最適な広告戦略の提案を行います。

これらの会社は、それぞれ異なる特性と強みを持ち、広告主の目的や予算、ターゲットに合わせた広告戦略を提供します。タクシー広告を活用することで、幅広い層に対する効果的なメッセージの発信やブランド認知度の向上が可能です。

事例と利用業種一覧

タクシー広告の事例としては、以下のようなものがあります。

ユニクロ

ユニクロは、新作の発売やセールの告知などに合わせてタクシー広告を利用しています。特に、カーラッピング広告はインパクトが大きく、街中を走行するタクシーが広告塔となって、数多くの人々の目に触れる機会を作り出しています。

ソフトバンク

ソフトバンクのキャラクターである「お父さん」が描かれたタクシー広告は、親しみやすさを感じさせ、ブランドイメージの向上に寄与しています。車体全体に広告が貼られており、強烈な視覚効果で注目を集めています。

メルカリ

メルカリは、フリマアプリの利用促進を狙ったタクシー広告を展開しています。街中のタクシーに広告を掲出することで、多くの人々にメルカリの名前とサービスを知らしめることに成功しています。
これらの企業は、タクシー広告の高い視認性とターゲット指向性を活用して、ブランド認知度を上げる効果的な広告戦略を展開しています。

デジタルサイネージを活用した事例です。

マクドナルド

マクドナルドは、タクシーの車内ディスプレイを活用した広告に投資しています。新メニューの紹介や限定クーポンの提供など、ターゲットとなる顧客に直接情報を伝えることができます。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、新製品の発売を伝えるために、タクシーのデジタルディスプレイで動画広告を流しています。車内の乗客に対して直接、視覚的な情報を提供し、興味を引きつけることができます。

楽天

楽天は、タクシーのデジタルサイネージを活用して、オンラインショッピングサイトや各種サービスを紹介しています。乗車中のお客様に向けた情報提供で、ブランド認知度を一層高めています。

ファミリーマート

ファミリーマートは、近くの店舗情報や限定商品の紹介など、タクシー乗車者に向けた情報をデジタルサイネージで流しています。タクシーが特定のエリアを走行しているため、地域密着型の情報提供が可能です。

ソニー

ソニーは、新製品の紹介や特定の映画・音楽のプロモーションを行うために、タクシーのデジタルサイネージを利用しています。これにより、乗客に対してダイレクトに情報を提供し、興味を引きつけることができます。
これらの企業は、タクシー広告のデジタルサイネージを活用し、乗客に対して直接、効果的に情報を伝えることで、ブランドや商品の認知度向上に繋げています。

タクシー広告を活用する中小企業の業種は多岐にわたります。以下に幾つかの主な業種の一覧を示します。

レストラン

フェ – 新メニューの紹介や特別なプロモーション、近くの場所への誘導などにタクシー広告を活用します。

小売業

売り出し中の商品や店舗イベント、セール情報を広く伝える為にタクシー広告を使用します。

地域イベント

フェスティバル、コンサート、スポーツイベントなど、地域のイベント情報を広めるためにもタクシー広告が利用されます。

不動産業

物件情報やエリアの魅力を訴求するため、不動産業界でもタクシー広告はよく利用されます。

ビジネスサービス

サービスの紹介やブランド認知度向上のために、ビジネスサービス関連企業もタクシー広告を活用します。

医療・健康業界

クリニックの紹介や健康情報の発信、新薬の情報提供など、医療や健康関連企業もタクシー広告を利用します。

教育

学校や塾、教育プログラムの紹介など、教育関連の情報を広めるためにもタクシー広告は重宝されます。

観光業

観光地やツアーの紹介、旅行者向けの情報提供など、観光業界でもタクシー広告が活用されます。

これらの業種であっても、タクシー広告の効果を最大限に引き出すためには、広告の設計と配置、ターゲットエリアの選定が重要となります。

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タクシー広告の結論

タクシー広告は、その高い視認性と地域指向性、比較的手頃なコストにより、多くの企業にとって効果的な広告手段となり得ます。特に都市部や人口密集地では、タクシーは日常的に見かけるものであり、その動きにより広告は広範囲に伝えられます。さまざまな広告形式から選べるため、目的や予算、ターゲットに応じた最適な広告戦略を立てることができます。

また、デジタルサイネージを活用すれば、より直接的でパーソナライズされたメッセージを伝えることも可能です。例えば、タクシーの内部にデジタルスクリーンを設置することで、広告メッセージをリアルタイムで更新し、特定の地域や時間帯に合わせた情報を提供することができます。さらに、GPSやビーコンテクノロジーを活用すれば、タクシーが特定の地域やイベント会場を通過する際に、関連する広告を表示することも可能です。

ただし、タクシー広告はエリアや時間帯の制限があるため、戦略の計画と実施には注意が必要です。適切なターゲット層や地域を選定し、広告の効果を最大化するために、データ分析や市場調査を活用することも重要です。さらに、広告メッセージは簡潔で視覚的に印象的なものが求められます。情報量を抑えつつも、タクシーの通過速度や停車時間を考慮して、効果的なメッセージを伝えることがポイントです。

これらを考慮に入れ、適切な広告会社と協力すれば、タクシー広告はあなたのビジネスに大いに役立つでしょう。ターゲット層にアピールし、ブランドの知名度を高めることで、新規顧客の獲得や売上向上につなげることができます。タクシー広告は、効果的なマーケティング手法の一つとして、今後もますます重要性を増していくことでしょう。

(このページは2005年に掲載した記事を2023年に加筆修正更新したものです)