真空地帯理論とは、小売業展開に関する仮設の一つで、1966年にデンマークのニールセン(O.Nielsen))によって提唱されました。
市場の変化や小売業の発展によって、既存の小売業がカバーできない市場にすき間(真空地帯)ができ、そこに新たな小売業が参入してくるという理論です。
低価格・低サービス市場に真空地帯ができると、新たな小売業者が参入してきます。
やがて小売業は、消費者の好みがレベルアップすることに対応し、グレードアップを図るのです。
グレードアップされた市場には、再び真空地帯が生まれます。
その市場では、再び低価格・低サービスの店舗が参入するでしょう。
高価格・高サービスの市場に真空地帯ができると、そこには新たな小売業の参入があります。
消費者の好みが中価格・中サービスであると知ると、小売業は価格やサービスをグレードダウンさせて対応するでしょう。
元の高価格・高サービス市場には再び真空地帯が生まれ、新たな小売業が参入してきます。
具体的に、真空地帯理論について説明します。
ある市場に、3つの小売業が存在すると仮定しましょう。
A店は低価格・低サービス、B店は中価格・中サービス、C店は高価格・高サービスです。
B店の人気があるため、A店とC店は、B店のような中価格・中サービスにしようとします。
市場は中価格・中サービスの小売業だけになり、低価格・低サービス、高価格・高サービスの小売業は消滅し、真空地帯が生まれるでしょう。
そこに、革新的な小売業が参入してきます。
「真空地帯理論」は小売業の新規参入の機会が、低価格・低サービスと高価格・高サービスの市場どちらにもあり、グレードアップとグレードダウン両方の流れがあることを、仮定しているのです。
(このページは2014年に掲載した記事を2015年と2021年5月に加筆修正更新したものです)