カニバリゼーション(cannibalization)とは、日本語では共食いの意味を持つ言葉で略してカニバリ、カニバるとも表現されます。
ビジネスにおいては自社製品やサービスで、顧客・売上を奪い合うことを指しています。
カニバリゼーションは2つの種類に分類されます。

1つ目は商品戦力・流通戦略の失敗により自社に不利益を及ぼすタイプです。

自社製品のポジショニングが上手くできなかったり、製品の最適な販売ルートを構築できなかったりすることが原因で発生します。
飲食店を例にあげると、急激に店舗数を増やしたがために同地域に何件もの店舗が展開し、同店舗の顧客を取り合い苦境に立たされたケースがあります。

2つ目はマーケティング戦略の一つとして意図的に発生させるタイプです。

自社製品を市場内で確固たるものにして、競争力をより強化するために戦略的にカニバリゼーションを発生させるケースです。
意図的にカニバリゼーションを発生させると、自社製品の間で競争が始まり市場の活性化に繋がります。

ジャガイモの共食いカニバライゼーション
Pixabay画像:ジャガイモの共食いカニバライゼーション
企業にとって不利益となるカニバリゼーションを避ける方法は、ペルソナの設定、商品の差別化、社内での意思疎通が重要です。

ぺルソナの設定

商品・サービスを販売する際のぺルソナが正しく設定されていないと、カニバリゼーションの発生率が高くなってしまいます。
ペルソナを曖昧に設定すると、ターゲットが多くなり望んでいない人が流入するでしょう。

カニバリゼーションの発生を防ぐには、商品開発段階でターゲットを既存商品に被らないように設定する必要があります。
ペルソナを正しく設定すると、カニバリゼーションを防ぎ利益拡大に繋がるでしょう。

商品の差別化

カニバリゼーションを防ぐには、既存の商品と性能を差別化することが重要です。
ターゲットが既存の商品と重複しても、商品価値が違えば購入につながるでしょう。

例えば同じデザインのバイクでも排気量に違いがあれば、ユーザーのニーズも変わってきます。
コンパクトサイズで買い物や通勤をメインに考えているバイクが欲しい方は排気量が小さいモデル、バイクで旅行や長距離ドライブを楽しみたい方は排気量の大きいモデルが向いています。

このように機能や性能の違いで差別化を図ると、販路拡大に成功できます。

社内での意思疎通

規模が大きくなるにつれて、部署間の意思疎通が上手くいかないケースがあります。
社内で類似する商品を開発した場合に、情報共有ができていないとカニバリゼーションの原因につながります。
カニバリゼーションを防ぐためには、社内での意思疎通を頻繁に行う必要があるのです。

現代の製品サービスにおいて全くカニバリゼーションが起こらないことは難しく、いかにその領域を減らし独自の価値を消費者に理解してもらうかが鍵となる。

(このページは2014年に掲載した記事を2019年2021年6月に加筆修正更新したものです)