一番手の法則とは、「著:売れるもマーケ 当たるもマーケ-マーケティング22の法則(アル・ライズ&ジャック・トラウト)」に記載されている、自社製品が競合他社の製品よりも優れていることより、マーケット参入が早い方が顧客の心を掴むことができるというものです。

最初に顧客に認知された方が、2番目に認知されるよりも有利なポジションを獲得でき、逆に2番目のプロダクトが主力ブランドになるには、難しいとされています。
その理由は、先行者になることで2番手よりも先に顧客を獲得することができ、「参入障壁」を築くことができるといったメリットがあるからです。

事例として、人類初の月面上陸をしたのはニール・アームストロング船長だが、同時に(少し遅れて)上陸したマイケル・コリンズの知名度は低い。

また、先行者は価格競争をせずに独自で比較的高い価格を設定できる上、規格面や技術面でも優位に立つことができます。
この考え方に基づくと、「一番良い商品を作ること」よりも「最初に商品を作ること」が重要視されるのは当然といえるでしょう。

月面着陸一番手
Pixabay画像:月面着陸一番手
それでは2番目に参入したプロダクトに勝ち目はないのでしょうか。

「日本で1番高い山は?」と聞かれたら、9割以上の人が「富士山」と答えるでしょう。
ところが、「2番目に高い山」を知っている人がどれほどいるでしょうか。
マーケティング業界においても、それほど1番と2番の差は激しいのです。

それでは1番になったらどうするかですが、ブランド名を独立させ、新たに登場するカテゴリーにそれぞれ異なる名前をつけなくてはなりません。
あるブランドが成功すると、会社としてはそのブランドネームが成功の秘訣であると思いがちですが、実はそうではないので注意が必要です。

ブランドの話になると顧客は保守的になってしまうので、ブランドではなくカテゴリー自体を売り込むことが大切となってきます。
1番手であればカテゴリーが売れると、自動的にそのブランドも売れるからです。

また、ファッドと呼ばれる一時的な流行現象を回避することが重要となります。
マーケティングの長期的な効果は短期的な場合と正反対なことが多く、一過性のものと思われてしまうと逆に衰退することにつながるでしょう。

1番手になれなかった場合は、1番手になれる新しいカテゴリーを作りましょう。
マーケティングの基本は焦点を絞り込むことであり、多くの顧客が求めているからといって、やみくもにそれを提供すればいいというわけではありません。
自らが勝てるカテゴリーを見つけ、それを追い求めることが重要です。

「弊社のサービスは最高です」と謳ったとしても、顧客は振り向いてはくれません。
商品やサービスなど自らの問題点をさらけ出し、顧客の心を掴めるものに磨き上げていくことが、唯一の攻略法といえるでしょう。

(このページは2014年に掲載した記事を2015年と2021年7月に加筆修正更新したものです)