特定電子メール法は、迷惑メールを規制するために作られた法律で正式には「特定電子メールの送信の適正化に関する法律」と呼ばれます。
特定電子メール法は2002年施行後、罰則強化などでたびたび改正されており、2005年に特定電子メールの対象範囲拡大、架空アドレスに向けたメール送信の禁止、2008年にはオプトイン規制が導入されています。

メールマーケティングへ向う無数の矢印画像
Pixabay画像:メールマーケティングへ向う無数の矢印画像

特定電子メールとは

では特定電子メール法に規定されている「特定電子メール」とはどのようなものなのでしょうか。

特定電子メールは、「営利を目的とする団体及び営業を営む場合にお ける個人」である送信者が「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行う ための手段として送信する電子メール」 として規定されています。

消費者庁取引対策課:特定電子メールの送信等に関するガイドライン
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specifed_email/pdf/110831kouhyou_2.pdf
このガイドラインによると、商品の紹介や販売、そのほか営利目的で送信されるメールは、特定電子メールとして法律の規制を受けることになります。ビジネスの目的が法人か個人かは問われません。

例えば個人に向けてSNSへ招待したり、懸賞当選のお知らせを行うために送信するメールや、見込み客に対し自社商品を紹介したり、ホームページに誘導する目的で法人から法人へ送信されるメールも同様です。

特定電子メールとして扱われないケース

特定電子メール法の対象が「メール」に限られているため、電話番号やメールアドレス以外の仕組みを使って送られたもの、例えばLINEやSNSのメッセージ機能を使った広告は除外されます。

またメールの体裁を取っていても、業務連絡のみを記載しているメールや請求に関する内容、SMS認証のためのメール、あいさつ文など宣伝内容が含まれていないメールは、特定電子メールには含まれません。ただし上記の文面で構成された内容でも、商品ページに誘導することが目的のリンクがある場合は特定電子メールとして扱われるため、注意が必要です。

オプトイン方式

特定電子メール法には、特定電子メールを送る際に受信者の同意を得なければならないと規定しており、これをオプトイン方式と呼びます。広告宣伝メールを送ることにメールの受信者が同意した場合に限り、電子メールを送信できます。

また受信者から得た同意は、以下の条件に基づき保存しておく必要があります。
・個別の電子メールアドレスについて、同意を受けた際の状況を示す記録(時期や方法など)
・同意を得る際に、メールの送信者がメールの送信を行っていた場合は、電子メールアドレスに加え以下の事項とすることも可能。
⇒同意取得に際しメールを送っていた場合、メールの文章のうち定型的な事項
⇒ウェブサイトからメッセージを送っていた場合はその文章(ウェブサイトに表示されていた事項)のうち定型的な事項

記録の保存期間は、広告宣伝メールを最後に送信した日から1か月です。ただし、特定電子メール法に基づく措置命令を受けた場合は1年間となります。

ちなみにメール送信前の規制であるオプトインに加え、受信者が広告宣伝メールの拒否を意思表示するオプトアウト(受信拒否)についても法律で規定されています。
メールの送信者は受信者側でオプトアウトできるよう、メールマガジン解除などの方法を表示するなど、その方法を明らかにしておく必要があるので送信者は認識しておかなければなりません。

オプトインとオプトアウト:https://www.faxdmya.com/mkwords/opt-inmail

特定電子メール法における表示義務

特定電子メール法では、受信者に広告宣伝メールを送る際、送信者には以下の表示を義務付けています。

  • オプトアウトができる旨の記載
  • 送信責任者の氏名、名称
  • 送信責任者の住所
  • 問い合わせや苦情受付の連絡先(電話番号、メールアドレス、URLなど)

表示の方法は、受信者がわかりやすい場所とされており、メールの最初か最後が望ましいです。

特定電子メール法の措置命令

特定電子メール法で送信者の行為が以下に該当した場合、是正命令が発出されます。それでも従わなかった場合は罰則を受ける可能性があります。

  • 特定電子メールの送信の制限の規定を遵守していない場合
  • (同意のない者への送信、受信拒否者への送信など)

  • 表示義務の規定を遵守していない場合
  • 送信者情報を偽った電子メールの送信
  • 架空電子メールアドレスあての送信
  • 同意の記録義務違反

罰則については以下の通りです

送信者情報を偽った場合

1年以下の懲役または100万円以下の罰金
(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金)

特定電子メールの送信の制限の規定を遵守していない場合や、架空電子メールアドレスあてに送信したとき

総務大臣及び内閣総理大臣による命令(架空電子メールアドレスあての送信の場合は、総務
大臣による命令)。
命令に従わない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金)

同意の記録義務違反の場合

総務大臣及び内閣総理大臣による命令。命令に従わない場合、100万円以下の罰金
(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して100万円以下の罰金)

特定電子メール法新規開拓法人営業メール配信代行サービス

まとめ

特定電子メール法について紹介しました。

メルマガに代表されるいわゆる「営業メール」は、特定電子メールとして法律上定義されており、送信者に対してさまざまな制約が課されています。
最悪の場合処罰の対象となるため、営業目的のメールを送る際は注意しましょう。