インストア・マーチャンダイジングとは、消費者の「欲しい」と小売店の「売りたい」をつなげるための活動

インストアの名前からも推測できるように、店内で行う売り上げのための手法を指します。
インストア・マーチャンダイジングの綴りはin-store merchandisingとなり、省略してISM(イズム)と呼ばれます。2つの手法によりISMは行われます。

1つ目はISPといい、インストア・プロモーションを略したものです。

販促活動のためのチラシやポップ、店頭でのイベントなどを指します。
チラシによる安売りの情報やお得なクーポンで積極的に集客をします。
来店した消費者の「欲しい」気持ちを刺激する活動で、ポップや購入ノベルティの特典も、様々な面から購入意識を刺激するISPとして活用されています。

店頭で行うイベントもISPです。
偶然近くを訪れただけの人にサンプルの配布といったアプローチをしていきます。
シャンプーなどの試供品配布や試食コーナーも販促活動の一環です。
他にも飲料や商品を購入する事でしか手に入らないグッズが当たるなどもISPの手法となります。

マーチャンダイジング
Pixabay画像:マーチャンダイジング

2つ目はSPMといい、スペース・マネジメントを略したものです。

売り場の展開として、陳列棚や商品ごとのフロア配置、消費者の動線を分析して購買アップをはかります。
陳列棚や商品カテゴリごとのフロアの見直しは、店側の「売りたい」要求を成功させるためのものです。
消費者の動線を分析することで店内の棚割りも見直す他にも、特設売り場のマネジメントなども行います。

子どもの目線に合わせてお菓子を、レジの近くに米など重たいものを配置するのもSPMです。
特に販売に力を入れている商品などは消費者の目線に入りやすい位置へと配列します。
性別や年代に合わせた棚割りで販売数増加を目指します。

ガムや電池などをレジの近くに置くのは、レジ待ち中に常備品の存在に気づいてもらうための配置です。
溶けやすい冷凍食品をレジ近くに置くことで、買い忘れを防止する、といったアイデアもSPM活動となります。

近年、ネットスーパーやECサイトの利用が広まり、従来のISMだけでは、対応が難しい場面もみられるようになりました。実店舗に来店して商品を確認後に、オンラインで最安値のものを購入する消費者が増えてきているからです。オンラインでは得られない実店舗ならではの魅力を打ち出すことができれば、ISMは成功します。

消費者の心理が見えにくい現代においてISMは購買アップに必要な活動です。実際にISPとSPMへの意識が高い小売店ほど、売り上げを伸ばしています。実店舗ならではの生の体験や販売者の顔が見える利点を生かせば、ISMは成功するのです。

(このページは2014年に掲載した記事を2015年と2021年に加筆修正更新したものです)