知るべきことを知るための調査がMROCです。「Market Research Online Community」の頭文字を取り、そう呼ばれています。ネット上で行われる新しい市場調査です。

ネット上に一定期間、交流できるサイトを調査に参加する人々のために立ち上げます。
新商品や既存商品へ参加者が自由に発言できるようにするためです。
開発や改良のヒントも得やすく、参加者の交流を一定期間追うことで分析が行えます。

アメリカで始まったMROCは多くの企業が利用する調査方法です。
時間や場所を気にせず、意見交換ができる利点が好まれています。
2008年にフォレスターリサーチ・ブラッド・ボートナーがMROCと命名しました。

MROC以外にも、FGI(フォーカスグループインタビュー)と定量調査というリサーチ法があります。
FGIは実際の開場で顔を合わせて、定量調査はオンラインで情報収集を行うものです。

Market Research big date
Pixabay画像:Market Research big date
FGI・定量調査・MROCの特徴は以下のものとなります。

  • FGI:インタビュアーの質問に参加者に答えてもらい「定性データ」を得る
  • 定量調査:オンライン上の質問票に参加者が答えることで「定量データ」を得る
  • MROC:「定性データ」と「定量データ」の両方を得られる

「定量調査」は5分から30分くらい、インタビュー形式の「FGI」は2時間くらいを目安に情報を収集します。
MROCの調査期間は、先述の2つに比べると、1週間から1年間とかなり長めです。
そのため、参加者の心境や商品の利用方法の変化などを追跡調査で分析することができます。

調査エリアを限定することなく実施できるのがMROCのメリットです。
日本以外に世界からも参加ができ、リアルタイムで参加者の生活をリサーチできます。
会場に来られない層からリサーチできるのもMROCの特徴です。
例えば、育児や介護に関わる人向けの商品についてリサーチをしたいとき、家から参加できるMROCは適切な市場調査となります。

コミュニティサイトで意見交換ができるMROCは、投稿の自由度が高く幅広い調査ができます。
言葉での表現が難しい場合、スマホなどで簡単に撮影できる画像投稿は便利です。
言葉だけでは伝わりにくい情報も得ることができます。

言葉による投稿でもMROCには高い価値があります。
言葉を打ち込み投稿することで、意見をもまとめてから投稿するため、会話と比べ伝え忘れが起きにくいです。

投稿するだけでなく、サイト内の交流も楽しめ仲間意識も共有できます。
仲間意識を持つようにもなるだけでなく、MROCは意見を一人で考え投稿します。
オンライン上で回答をするため、周囲の意見に流されず本音を引き出せるのです。
こぼれ落ちる可能性のある意見を収集して分析することが、MROCの特徴となります。

(このページは2014年に掲載した記事を2015年と2021年に加筆修正更新したものです)