スイッチングコスト (switching cost) とは、これまで利用してきた製品やサービスから別のものに切り替える際の負担=コストのことです。
この負担=コストは主に3つに分けられます。

  • 金銭的コスト
  • 心理的コスト
  • 物理的コスト

金銭的コストの例として、使用していたサービスの変更でキャンセル料発生や商品価格が高くなる

心理的コストの例として、今まで使っていた製品のほうがいいかもしれないから後悔するのは避けたい、新しいお店や製品に変わるときに不安を感じる

物理的コストの例として、スーパーでミネラルウォーターを買っていたが、ウォーターサーバーに切り替えようと考えている。ただサーバーの置き場所を確保するために冷蔵庫を動かさなくてはならない。

スイッチンぐコストのイメージ画像
Pixabay画像:スイッチするため検索
実はこのほかにも新たに製品を探す際の探索コストや、新規契約に伴う書類手続きなどの作業コスト、新しく操作を覚えるなどの学習コストなどが、スイッチングコストとして分類されています。
新規顧客の獲得や市場シェアの拡大においては、このスイッチングコストを低くするのが効果的といわれています。

スイッチングコストが低ければ、消費者は大きな負担もなく手軽に製品やサービスを切り替えられます。
結果として、スイッチングコストを意識すれば、価格や商品の質、サービスなどとは別の戦略を持つことにつながります。
スイッチングコストを低くするためには、顧客の受け取る価値を上げるか、すべてのコストを下げるかどちらかが必要です。

金銭的コストを下げるには、たとえば無料期間を設ける、あるいは他社の価格動向など市場調査を行ったうえで適正な価格設定を行い、”割安”なものに見せることが重要です。
あまり安くしすぎると利益が残らないばかりか、スイッチングコストが低いため他社に乗り換えられやすい点に注意が必要となります。

物理的コストを下げるには、納品まで短期間、すぐに使えるようにセットアップを行う、サービスマンが使用する場所まで運んでくれるといった、空間的、時間的、物理的な隔たりをなくす必要があります。
顧客がもともと導入していた商品やサービスにプラスして、新しい機能が付けられるなどの場合は、さらに物理的コストを下げられるでしょう。

心理的コストを下げるには、既存製品やサービスにはない魅力を商品から感じてもらい、乗り換えの心理的な負担を軽減する必要があります。
使ってみたくなるような、新しいコンセプトなどを打ち出すなど斬新さが求められてくるでしょう。

(このページは2014年に掲載した記事を2015年と2021年8月に加筆修正更新したものです)