BtoBマーケティングとは?基礎知識から戦略立案のプロセスまで徹底解説

「良い商品を作れば、自然と売れるはずだ」「とりあえず流行りのWeb広告やSNSを始めてみよう」
多くの企業がマーケティングに取り組もうとする際、いきなり「手法(戦術)」から入ってしまいがちです。しかし、どれだけ高性能なツールを使っても、「誰に・何を届けるか」という戦略が間違っていれば、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。
BtoBマーケティングのゴールは、単なる販促活動ではありません。
営業マンが売り込まなくても、顧客の方から「話を聞きたい」と手を挙げてくれる「売れる仕組み」を作ることです。
本記事では、用語の定義から、3CやSTPといったフレームワークを使った具体的な戦略立案プロセスまで、BtoB企業が勝つための「マーケティングの型」を解説します。
BtoBマーケティングとは? BtoCとの決定的な違い
マーケティング(Marketing)を一言で表すと、「顧客の課題を解決し、対価として利益を得るための仕組みづくり」です。しかし、対個人(BtoC)と対企業(BtoB)では、その攻略法が全く異なります。
BtoB特有の3つの壁
BtoBビジネスには、BtoCにはない「複雑さ」があります。ここを理解せずに、個人の感覚で広告を打っても響きません。
| 項目 | BtoC(個人向け) | BtoB(法人向け) |
|---|---|---|
| 購買決定者 | 本人(1人) | 複数人 (担当者、上司、決裁者、経理など) |
| 判断基準 | 感情・衝動 (欲しい、かっこいい) |
経済合理性 (費用対効果、課題解決になるか) |
| 検討期間 | 短い(数分〜数日) | 長い (数ヶ月〜1年以上かかることも) |
つまり、BtoBマーケティングにおいては、感情に訴えるキャッチコピーよりも、「導入メリットを論理的に説明するコンテンツ」や、決裁者を説得するための「信頼性(エビデンス)」が極めて重要になります。
なぜ「戦略」が必要なのか?(地図と装備の話)

▲ 良い装備(ツール)があっても、地図(戦略)がなければ目的地にはたどり着けません。
よくある間違いが、戦略(Strategy)がないまま、戦術(Tactics)に走ってしまうことです。
- 戦略(Strategy): どの山に登るか決めること(地図・ルート選び)。
- 戦術(Tactics): どうやって登るか決めること(装備・ツール選び)。
「SEOをやりたい」「動画広告をやりたい」というのは、登る山も決まっていないのに「高級な登山靴を買いたい」と言っているのと同じです。
もし選んだ山が、自社の体力に合わないエベレスト(競合が強すぎる市場)だったら、どんなに良い靴(ツール)を使っても遭難します。
💡 成功の鉄則
まず「どこで戦うか(戦略)」を決め、その後に「どう戦うか(戦術)」を選ぶ。
この順番を間違えないことが、マーケティング成功の第一歩です。
失敗しない戦略立案の3ステップ
では、具体的にどうやって戦略を立てればいいのでしょうか。
マーケティングの教科書には多くのフレームワークが登場しますが、実務で使うのは以下の3ステップ(R-STP-MM)だけで十分です。
Step 1. 環境分析(Research):敵と己を知る
戦う場所を決める前に、現状を把握します。
ここで役立つのが「3C分析」です。
- Customer(市場・顧客): 顧客は何に困っているか? 市場は伸びているか?
- Competitor(競合): ライバルは誰か? 彼らの強み・弱みは?
- Company(自社): 自社ができること(リソース)、できないことは何か?
Step 2. 基本戦略(STP):勝ち筋を決める
分析結果をもとに、自社が勝てるポジションを定義します。
これを「STP分析」と呼びます。ここが戦略の核となります。
- Segmentation(セグメンテーション)
- 市場を切り分ける。「法人全体」ではなく「製造業」「従業員100名以上」「関東エリア」など、属性でグループ化します。
- Targeting(ターゲティング)
- どのグループを狙うか絞る。「すべての製造業」ではなく「生産管理システムのリプレイスを検討している情シス担当者」のように、ペルソナ(人物像)まで落とし込みます。
- Positioning(ポジショニング)
- 競合との差別化。「高機能だが高いA社」に対し、「機能はシンプルだが低価格で導入しやすい自社」という立ち位置を明確にします。
Step 3. 実行計画(Marketing Mix):具体策に落とす
戦略が決まって初めて、具体的な施策(4P)を考えます。
- Product(製品): どんな機能・パッケージにするか?
- Price(価格): いくらで売るか?(サブスクか売り切りか)
- Place(流通): 直販か代理店か? Web完結か?
- Promotion(販促): どうやって知ってもらうか?(広告、SEO、展示会など)
Webマーケティング担当者が普段行っている「ブログを書く」「広告を出す」といった業務は、この最後の「Promotion」の一部に過ぎません。
BtoBにおける「リード獲得」から「成約」までの全体図
戦略(4P)が決まったら、それを実行に移します。
現代のBtoBマーケティングでは、以下の「The Model(ザ・モデル)」型のプロセスが主流です。
デジタル時代の営業プロセス
-
集客(リードジェネレーション):
Webサイトや広告を使って、見込み客の実名情報(メールアドレス等)を集めるフェーズ。
▶ SEO戦略の記事はこちら -
育成(リードナーチャリング):
すぐには買わない顧客に対し、メルマガ等で情報提供を続け、検討度合いを高めるフェーズ。
▶ メールマーケティングの記事はこちら -
商談・成約(セールス):
機が熟した顧客にアプローチし、クロージングを行うフェーズ。
▶ インサイドセールスの記事はこちら
これら全ての活動を統括し、全体最適を図るのが「デジタルマーケティング」です。
より詳しい全体像については、以下のピラーページ(総論)をご覧ください。
まとめ:戦略なき戦術に勝利なし
マーケティングの手法は日々進化していますが、「誰の悩みをどう解決するか」というビジネスの本質は100年前から変わりません。
小手先のテクニックに走る前に、一度立ち止まって「3C」や「STP」を見直してみてください。
【本記事のポイント】
- BtoBは「論理」と「信頼」で動く。
- まず「戦略(地図)」を作り、次に「戦術(装備)」を選ぶ。
- STP(誰に・どういう価値を)が決まれば、やるべき施策は自然と決まる。
💡 戦略が決まったら、次は「攻め」の実行へ
「ターゲット(STP)は決まった。あとは彼らに情報を届けるだけだ」
そうお考えなら、Webを待つだけでなく、こちらからアプローチする手段も持ちましょう。
貴社が狙うその企業の決裁者に、開封率100%の「FAX DM」で直接オファーを届けてみませんか?
BtoBマーケティング戦略に関するよくある質問
- Q. マーケティングとセールス(営業)の違いは何ですか?
- A. セールスは「目の前の顧客に商品を売ること」ですが、マーケティングは「セールスが売り込みをしなくても売れる状態を作ること(売れる仕組みづくり)」です。両者は対立するものではなく、協力関係にあるべきです。
- Q. 中小企業でもSTP分析などのフレームワークは必要ですか?
- A. はい、むしろリソース(予算・人員)が限られている中小企業こそ必要です。大手企業のように全方位に広告を出せないため、STP分析で「勝てるニッチな市場」を一点突破で見つける必要があります。
▼ BtoBデジタルマーケティング 成功へのロードマップ
集客から成約まで。成果を出すための全ノウハウを体系的に解説しています。
(2014年に掲載した記事を19年25年に加筆修正したものです)
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