BtoBのSEO対策とキーワード選定|検索ボリュームを捨てて「CV」を獲る

「SEO対策を始めたが、検索順位が上がっても問い合わせが増えない」
「BtoBのニッチな商材なので、そもそも検索ボリュームが少なくて心が折れる」
多くのBtoBマーケターが陥る罠、それは「B2Cと同じ感覚でPV(アクセス数)を追いかけてしまうこと」です。
数万人が検索するビッグワードで1位を取る必要はありません。たった月間50回の検索でも、その裏にいる「今すぐ導入したい決裁者」に見つけてもらえれば、BtoBのビジネスは成立するからです。
本記事では、月間検索数(ボリューム)を捨ててでも「コンバージョン(CV)」を確実に獲りに行く、BtoB特化型のSEO戦略とキーワード選定術を解説します。
※SEOの基礎知識について:
「SEOとは何か?」「AI検索(SGE)の影響は?」といった基礎的な定義については、以下の記事で解説しています。
▶ 中小企業・個人事業主のためのSEO対策ガイド(基礎編)
1. BtoB SEOの勝算は「ロングテール」にあり
「SEO=たくさんのアクセスを集めること」だと思っていませんか?
実はBtoBにおいて、その認識は一番の失敗原因です。弊社がそうでした。
BtoBとB2Cの決定的な違い
B2C(一般消費者向け)の商品、例えば「ダイエットサプリ」や「格安スマホ」であれば、アクセス数は多ければ多いほど売上に繋がります。
しかし、BtoBは違います。
- ターゲット人口が圧倒的に少ない(法人担当者のみ)
- その場のノリ(衝動買い)で決まらない
- 1件の成約単価が非常に高い
つまり、興味のない1万人のアクセスよりも、「導入を検討している1人の決裁者」のアクセスの方が、価値が圧倒的に高いのです。
「月間検索ボリューム100」が宝の山
ここで重要になるのが「ロングテールキーワード」です。
「マーケティング」のようなビッグワード(検索数が多い単語)は競合が強く、上位表示は困難です。しかも、検索者の意図がバラバラで成約に繋がりません。
一方で、「BtoB マーケティング ツール 比較」のような3語〜4語のキーワードは、検索数は少ない(月間10〜100回程度)ですが、検索者の悩み(導入したい)が明確です。
BtoB SEOの勝負所は、この「誰も見向きもしないニッチなキーワード」を確実に拾うことにあります。

▲ BtoBが狙うべきは、巨大な「頭(ビッグワード)」ではなく、検索数は少なくてもCVに近い「尻尾(ロングテール)」の領域です。
2. 失敗しないキーワード選定「3つの階層」
では、具体的にどのキーワードを狙えばいいのでしょうか。
検索クエリ(検索窓に入力される言葉)は、ユーザーの意図によって大きく4つに分類できます。
BtoBで優先すべき順位は明確です。
| 優先度 | クエリの種類 | ユーザーの心理 | BtoBキーワード例 |
|---|---|---|---|
| 最高 | Buy (買いたい) |
決裁直前・稟議中 「いくらか知りたい」 |
「〇〇システム 料金」 「〇〇代行 見積もり」 |
| 高 | Do (やりたい) |
解決策を検討中 「どの会社が良いか」 |
「〇〇ツール 比較」 「〇〇業者 おすすめ」 「〇〇サービス 一覧」 |
| 中 | Know (知りたい) |
困っている・調査中 「解決方法を知りたい」 |
「インボイス 対策」 「リード獲得 手順」 「〇〇とは 意味」 |
| – | Go (行きたい) |
特定のサイトへ行きたい (指名検索) |
「〇〇株式会社」 「〇〇(ツール名) ログイン」 ※既知の顧客 |
まずは「Buy / Doクエリ」から攻める
多くの企業ブログが書きやすい「Knowクエリ(〜とは)」ばかり増やしてしまいますが、これではアクセスは増えても売上には繋がりません。
BtoBで最優先すべきは、既に予算を持って業者を探している「Buy(料金・見積もり)」や「Do(比較・おすすめ)」のクエリです。
ここを徹底的に押さえることが、少ないアクセスでコンバージョンを獲る秘訣です。
💡 キーワード選定のコツ
ツール(ラッコキーワードやGoogleキーワードプランナー)を使うのも良いですが、一番のヒントは「営業現場」にあります。昔踊る大捜査線でも言ってましたね。
商談時にお客様からよく聞かれる質問(例:「導入までの期間は?」「他社との違いは?」)こそが、そのまま成約に近いキーワードになります。

▲ アクセス数狙いの「Know(知りたい)」ではなく、売上直結の「Buy(買いたい)」「Do(やりたい)」から攻めるのが鉄則です。
3. 検索上位を獲る記事構成(E-E-A-Tと一次情報)
狙うキーワードが決まったら、次は記事の中身です。
AIが記事を書けるようになった今、Googleは評価基準を大きく変えています。
それが「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」です。
「こたつ記事」はもう通用しない
ネット上の情報をツギハギしてまとめただけの記事(通称:こたつ記事)は、今後AIに淘汰されます。AIの方がうまくまとめられるからです。
人間が書く記事に求められるのは、「あなたにしか書けない一次情報」です。
上位表示されるBtoB記事の4要素
Googleに「この記事は有益だ」と判断させるためには、以下の4つ(E-E-A-T)を盛り込みましょう。特に最後の「信頼性」は、他の3つを支える最も重要な要素です。
- ① 自社の事例・実績(Experience:経験)
- 「一般論」ではなく「体験談」です。「当社のお客様ではこんな結果が出ました」「私はこう失敗しました」という実体験データは、AIには書けない最強のコンテンツです。
- ② プロとしての独自見解(Expertise:専門性)
- 教科書通りの解説ではなく、「プロの視点から見ると、この方法はおすすめしません」といった、ポジショントークを恐れない専門家としての意見・技術解説を入れましょう。
- ③ 監修者情報・著者情報(Authoritativeness:権威性)
- 「誰が書いたか」が重要です。記事の最後には必ず、執筆者のプロフィール、保有資格、過去の実績などを掲載し、責任の所在を明らかにしましょう。
- ④ 情報の正確さと透明性(Trustworthiness:信頼性)
- 運営会社情報の明記、引用元の明示、定期的な情報の更新など、「このサイトは信用できるか?」という問いに答える要素です。BtoBではここが欠けると絶対に問い合わせに繋がりません。
4. SEOが育つまでの「空白期間」を埋めるFAX連携
ここまでSEOの重要性を説いてきましたが、BtoB SEOには一つだけ致命的な弱点があります。
それは「成果が出るまでに時間がかかりすぎる」という点です。
「待ち」のSEOと「攻め」のFAXを使い分ける
新規ドメインで記事を書き始めてから、Googleに評価されて検索上位に表示されるまで、早くて半年、通常は1年近くかかります。
経営者としては「1年も売上が立たない」状況は許容できないはずです。
そこで推奨するのが、「攻め(プッシュ型)」と「待ち(プル型)」のハイブリッド戦略です。
| 施策 | SEO(オウンドメディア) | FAX DM / アウトバウンド |
|---|---|---|
| 役割 | 資産作り(中長期) | 売上作り(超短期) |
| 即効性 | ×(6ヶ月〜) | ◎(最短翌日) |
| コスト | 初期は人件費のみ (資産になれば無料) |
配信ごとに発生 |
FAXの反応を「SEOキーワード」に活かす裏技
実は、FAX DMは「SEOのテストマーケティング」にも使えます。
例えば、FAXのキャッチコピー(件名)をA案・B案でテスト配信し、反応が良かった方の言葉を、ブログ記事の「タイトル」や「見出し」に採用するのです。
「現場で反応が取れた言葉」は、ネット上でも検索される可能性が高い「生きたキーワード」です。
ツール上の数値だけに頼らず、アナログな反応率をデジタル施策に還流させる。これこそが、他社には真似できない最強のSEO対策になります。

▲ SEOは「資産」ですが時間がかかります。その間の売上は、即効性のあるFAX DMでカバーする「二刀流」が経営を安定させます。
まとめ:検索数より「誰に届けるか」を突き詰める
BtoBのSEO対策において、月間検索ボリュームの多さは重要ではありません。
1万人に読まれて1件も問い合わせがない記事より、たった10人の決裁者に読まれて1件の商談が生まれる記事の方が価値があります。
【本記事のポイント】
- BtoB SEOは「ロングテール(ニッチな悩み)」が主戦場。
- 「Know(知りたい)」よりも「Do(したい)」クエリを最優先で作る。
- AI時代は、自社の一次情報(事例・実績)がない記事は評価されない。
- SEOが育つまでの半年間は、FAXやメール営業で売上を確保する。
SEOは「優秀な営業マン」をWeb上に育てるようなものです。
時間はかかりますが、一度育てば24時間365日、文句も言わずに集客し続けてくれます。
ぜひ今日から、貴社だけの「資産」となる記事を書き始めてください。
SEOの効果が出るまでの「即効性」ならお任せください
BtoB SEO対策に関するよくある質問
- Q. ブログ(コラム)は何文字くらい書けばいいですか?
- A. 文字数に正解はありませんが、BtoBの専門的な内容を網羅しようとすると、自然と3,000〜5,000文字程度になることが多いです。無理に引き伸ばすよりも「読者の疑問が解決したか」を重視してください。
- Q. 外部のSEOコンサルタントに依頼すべきですか?
- A. 記事作成のすべてを丸投げするのは推奨しません。「自社の専門知識(一次情報)」がない記事になるからです。戦略設計のみ依頼し、執筆や監修は社内で行うのが理想的です。
- Q. 記事を公開してからどれくらいで順位がつきますか?
- A. サイトの運用歴(ドメインパワー)にもよりますが、新規記事が評価されるには3ヶ月〜6ヶ月程度かかるのが一般的です。リライト(修正)の場合は、1〜2週間で変動することもあります。
参考・出典
- Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
- 『検索順位を上げるSEO対策の教科書』
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