メールマーケティングの平均開封率・クリック率・CVRの目安|業種別ベンチマークと改善策
「メルマガの開封率が18%だったんだけど、これって良い数字なの?」
「クリック率が1%を切っている……もしかして失敗?」
メールマーケティングに取り組んでいると、必ずこのような「基準値(ベンチマーク)」への疑問にぶつかります。
スポーツでもテストでも、平均点が分からなければ、自分の成績が良いのか悪いのか判断できません。
本記事では、メールマーケティングにおいて必ず追うべき「5つの重要指標(KPI)」の定義と、BtoB業界における平均的な目安(合格ライン)を解説します。
自社の現状を正しく診断し、どこを改善すれば売上が伸びるのか、そのヒントを持ち帰ってください。

まずは基本!メールマーケティングで見るべき5つのKPI
メール配信には「届く→開かれる→クリックされる→成果になる」という明確な流れ(ファネル)があります。
どこでユーザーが離脱しているかを知るために、以下の5つの指標を定点観測します。

図:どこで離脱が起きているか?メールマーケティングのKPIファネル構造
1. 到達率(Delivery Rate)
送信したメールのうち、エラーにならずに相手のサーバーに届いた割合です。
- 計算式:(到達数 ÷ 総配信数)× 100
- 意味:リストの「質」を表します。アドレス変更や退職などで届かない宛先が多いと下がります。
2. 開封率(Open Rate)
相手に届いたメールのうち、開封された割合です。
- 計算式:(開封数 ÷ 到達数)× 100
- 意味:件名や送信者名が魅力的だったか、信頼されているかを表します。メールマーケティングの「入り口」となる最重要指標です。
3. クリック率(CTR)
配信されたメール(※到達数ベース)のうち、本文内のURLがクリックされた割合です。
- 計算式:(クリック数 ÷ 到達数)× 100
- 意味:本文の内容に興味を持ってもらえたか、オファー(提案)が刺さったかを表します。
「開封した人の中で、何%がクリックしたか」を見る指標を「反応率(CTOR: Click To Open Rate)」と呼びます。
CTRよりも純粋に「本文(コンテンツ)の質」を評価できる指標として重視されています。
4. コンバージョン率(CVR)
メール経由でサイトに来た人のうち、最終的な成果(資料請求、問い合わせ、購入など)に至った割合です。
- 計算式:(CV数 ÷ クリック数)× 100
- 意味:メールと飛び先ページ(LP)の整合性や、商材そのものの魅力度を表します。
5. 解約率(Unsubscribe Rate)
メール配信後に、メルマガ解除(配信停止)をされた割合です。
- 計算式:(解約数 ÷ 到達数)× 100
- 意味:ユーザーに「不快」「不要」と判断された割合です。これが高い場合、配信頻度や内容を即座に見直す必要があります。
【BtoB】業界平均値(ベンチマーク)はどれくらい?
それでは、実際の平均値を見てみましょう。
ただし、これらは業種やリストの鮮度(名刺交換したてか、休眠客か)によって大きく変動します。あくまで「目指すべき基準点」として参考にしてください。
| 指標 | BtoB 平均目安 | 評価コメント |
|---|---|---|
| 開封率 | 15% 〜 20% | 20%を超えれば優秀。10%を切るようなら、件名やリストの見直しが必要。 |
| クリック率(CTR) | 1% 〜 3% | ターゲットが絞られたリストなら3%以上も狙える。全配信なら1%前後が標準。 |
| 反応率(CTOR) | 10% 〜 15% | 開封した人の10人に1人がクリックすれば合格点。 |
| 解約率 | 0.2% 〜 0.5% | 0.5%(200人に1人)を超えると危険信号。内容がユーザーニーズとズレている可能性大。 |
いかがでしたか?
もし御社の数値がこれより低くても落ち込む必要はありません。原因を特定し、改善すれば必ず数字は上向きます。
次章では、具体的な「数字が悪いときの改善チェックポイント」を解説します。
数字が悪い原因はどこにある?「ボトルネック」特定法
KPIを計測すること自体には意味がありません。健康診断と同じで、「どこが悪いか(病巣)」を特定し、治療するために計測します。
ファネルの流れに沿って、数字が低い原因と対策をチェックしていきましょう。
ケース1:開封率が低い(15%未満)
メールが届いているのに開かれない場合、原因は「件名」か「送信者」のどちらかです。
- 原因1:件名に魅力がない
「メルマガ vol.10」のような件名では開かれません。「メリット」や「緊急性」が伝わる言葉を入れましょう。 - 原因2:送信者名が「誰?」状態
社名だけでなく、担当者名を入れることで親近感が湧き、開封率が上がることが多いです。 - 原因3:配信タイミングが悪い
相手が忙しい月曜午前や、帰宅直前の金曜夕方に送っていませんか?火〜木の昼前後がBtoBの鉄板です。
ケース2:クリック率(CTR)が低い(1%未満)
開封されているのにクリックされない場合、本文の内容(コンテンツ)に問題があります。
- 原因1:リンクの場所がわかりにくい
テキストリンクが埋もれていませんか?ボタン形式にしたり、色を変えたりして視認性を高めましょう。 - 原因2:オファー(提案)が弱い
「詳細はこちら」では動きません。「事例を無料で見る」「テンプレートをもらう」など、クリックするメリットを提示してください。 - 原因3:1通のメールに要素を詰め込みすぎ
あれもこれもと情報を詰め込むと、読者は何をしていいか分からず離脱します。「1メール・1ゴール」が原則です。
ケース3:CVRが低い(クリック後に成果が出ない)
実はこれが一番多い悩みですが、原因はメールではなく「飛び先のページ(LP)」にあることが大半です。
- 原因1:メールとLPの整合性が取れていない
メールで「Aについて解説!」と煽ったのに、リンク先が「B」の話だったり、トップページだったりすると、ユーザーは即離脱します。 - 原因2:入力フォームが面倒
せっかくやる気になったのに、入力項目が多すぎると嫌になります。フォームは極限までシンプルにしましょう。
最重要!KPI(中間目標)とKGI(最終ゴール)を履き違えない
最後に、一つだけ注意点をお伝えします。
それは「開封率やクリック率を上げること自体を目的にしてはいけない」ということです。
例えば、件名を「【緊急】大至急ご確認ください!!」とすれば、開封率は一時的に爆上がりするでしょう。
しかし、中身がただの宣伝であれば、読者は騙されたと感じ、信頼を失い、最終的な「商談(KGI)」には繋がりません。
【KGIとKPIの正しい関係】
- KGI(最終ゴール):売上、商談数、アポイント数
- KPI(中間指標):到達率、開封率、クリック率
あくまで「商談を増やすために、開封率を改善する」という視点を忘れず、小手先のテクニックに走らないよう注意しましょう。
まとめ:PDCAを回して「自社の勝ちパターン」を作る
メールマーケティングの平均値(ベンチマーク)を知ることは重要ですが、それはあくまでスタート地点です。
他社の数字と比べることよりも、「先月の自社の数字」と比較して改善しているかが何倍も重要です。
「開封率が悪いから件名を変えてみよう」「クリック率が悪いからボタンの色を変えてみよう」。
このように仮説と検証を繰り返す(PDCAを回す)ことでしか、成果は伸びません。
具体的な検証方法については、以下の記事で「A/Bテストのやり方」を詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
▼ 次のステップ:改善のためのテスト手法を学ぶ
メールマーケティングのKPIに関するよくある質問
Q. クリック率(CTR)と反応率(CTOR)の違いは何ですか?
分母が違います。CTRは「配信総数」に対するクリックの割合、CTORは「開封数」に対するクリックの割合です。「件名は関係なく、純粋に本文の中身が良かったか」を知りたい場合は、CTOR(反応率)を見るのが適切です。
Q. 開封率が10%を切ってしまいました。まず何をすべきですか?
BtoBで10%未満はかなり低い水準です。まずは「件名」を見直すこと、次に「送信者名」を変えることを試してください。また、長期間反応がない「休眠リスト」ばかりに送っていないか、リストの質も確認が必要です。
Q. HTMLメールとテキストメール、数値が良いのはどちらですか?
商材によりますが、近年のBtoBでは「テキストメール(またはテキスト風のシンプルなHTML)」の方が開封率・返信率ともに高い傾向にあります。装飾されたHTMLメールは「広告」と認識されやすいためです。
本記事の執筆にあたり参照したデータ・出典
各指標の平均値(ベンチマーク)については、以下の信頼できる調査データを参照しています。
- HubSpot Japan:メールマーケティングの最新統計データ
- Benchmark Email:メルマガ平均開封率レポート(業種別)
- Mailchimp:Email Marketing Benchmarks by Industry
- 一般社団法人日本ビジネスメール協会:ビジネスメール実態調査2024
- Campaign Monitor:Ultimate Email Marketing Benchmarks
- Salesforce:State of Marketing Report
Comment