アクイジション(acquisition)とは獲得や取得を意味する英語で、不動産業界、金融業界、マーケティング業界などで広く用いられる概念です。

不動産業界では投資用不動産の取得を指し、マーケティング業界では、新規顧客の開拓・獲得を意味する行動・プロセスを指す言葉です。
またマーケティングにおけるアクイジションは単に「顧客の獲得」や「手法」のみでなく、見込客を顧客に変えるプロセスや新規顧客獲得に係る費用も含めて用いられることが多くなっています。

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マーケティングとアクイジション

マーケティングにおけるアクイジションは、インターネットの普及により、以前と比べるとその手法が多様化しています。

メールマガジンを利用した新規獲得、Webサイトを利用した入会キャンペーン、QRコードを利用した印刷媒体とWeb双方の利点を利用した獲得施策などはその代表的なものです。試供品配布、お試し価格販売、増量セール、オプションサービス無料など、既存のアクイジションと合わせ、商材やそれぞれの獲得方針によって広く使い分けられています。

Webサイトなどを利用したデジタルマーケティングでは、資料請求や購買をアクイジションとしてその効率を計測するための指標CPA(コスト・パー・アクイジション)として活用されています。

アクイジションとリテンション

マーケティングでは新規獲得を表すアクイジションの対義語として、リテンションという言葉があります。
リテンションはいわゆる「既存顧客維持」を指し、顧客維持や囲い込み、既存顧客リストの活用などを意味しています。

リテンションでは、会員特典の贈呈やキャンペーン・割引への案内、顧客サポートによるファン化などを通じた解約や乗り換え防止、リピート購入者の増大、アップセル・クロスセルなどが行われます。
また、口コミや紹介プログラムを通した知人・友人などを獲得するアクイジションサポートがリテンション手法として広く用いられています。

マーケティングではアクイジションとリテンションがセットで取り上げられることが多いわけですが、これは両者とも意味的なつながりを持っているためです。
そのつながりはビジネスモデルの一つである「AARRRモデル」の考え方に基づいています。

アクイジションとAARRRモデル

ビジネスの成長プロセスにおけるフレームワークの一つに、AARRRモデルがあります。
このAARRRモデルは、5つの英単語の頭文字をとってAARRRと名付けられています。

  • 新規顧客獲得=Acquisition
  • 利用開始=Activation
  • 継続利用=Retention
  • 紹介=Referral
  • 収益化=Revenue

まず、顧客相手のビジネスが成功するためには、アクイジションが欠かせません。
AARRRモデルの第一段階にアクイジションがあるのはこのためで、アクイジションの失敗は収益につながる手段を絶たれることを意味します。

アクイジションに成功すれば、新しい顧客が商品やサービスを利用するわけですが、より多くの顧客を第三段階であるリテンションまで引き入れることができれば、さらなるビジネスの発展につながっていきます。

既存顧客の口コミや知人・友人の紹介によって、新しい顧客を獲得できれば、そのビジネスにおいてより多くの収益を得るチャンスも広がっていくでしょう。
通常、新規顧客獲得におけるコストや時間はそのビジネスプロセスにおいてかなり大きなものになります。既存顧客から得られる売り上げに対し、5倍のコストがかかるといわれていますが、アクイジションの成功が、ビジネスの成否を分けるといっても過言ではありません。
そのため、アクイジション施策は綿密に計画していく必要があるといえるでしょう。

アクイジション施策

アクイジション施策は、見込み客の絞り込みから実際に新規顧客を獲得するまでの施策です。
どのように見込み客にアプローチを行うか、コミュニケーションを図りながら、商品やサービスを紹介し、興味を持ってもらうか。

効果的に新規顧客を獲得するためにはこれらのプロセスを含め、必要な施策をタイミングよく行っていく必要があるため、慎重な判断が求められます。
ビジネスの目的がBtoB、BtoCかでも、アプローチの仕方やアピール方法は変わってくるため、意識して進めていかなければなりません。

(このページは2014年に掲載した記事を2019年と2021年に加筆修正更新したものです)