ラテン語で仮面や人格を意味する言葉であるペルソナは、マーケティング用語では細かく具体的に設定された仮想的な人物像を意味します。

マーケティングの戦略や方向性を決める際に活用される典型的なユーザー像、それが「ペルソナ」です。自社製品やサービスを受けるユーザー像の代わりに、実在の人物のように設定された「ペルソナ」に対してマーケティング戦略を組み立てます。

このようにペルソナを実在する人物かのように活用するものが「ペルソナマーケティング」です。
混同されがちな言葉に「ターゲット」がありますが、「ペルソナ」はより具体的で細かい設定を行います。細かく具体的に仮想ユーザーを設定した「ペルソナ」は深い人物像となるのです。

ペルソナpersonaのイメージ画像
Pixabay画像:ペルソナpersonaのイメージ画像

ペルソナの設定方法

ペルソナの設定方法は大まかには以下のように分けられます。

  1. ペルソナのための情報収集
  2. 集まった情報の分析
  3. ペルソナの作成
  4. ペルソナの定期的な見直し

ただし、ペルソナとなる対象が企業か個人では情報の属性が異なります。
これから企業と個人の事例をあげて説明していきます。

企業の場合

企業に属する従業員を対象に情報を収集し分析していくのが、BtoBでのペルソナの定義です。企業としての属性を明確にしたのちに、「企画部門担当者」「IT部門担当者」といった具体的なペルソナへと設定していきます。
具体的なペルソナを設定することで、事業や組織の悩み、理想といったものも見えるようになります。

個人の場合

BtoCを意識してペルソナの設定を行います。個人を想定できる細かい設定を決め、街頭やWEBでアンケートを収集して具体的なペルソナに仕上げます。インターネット利用状況もペルソナの設定には重要です。
企業も個人も、具体的なペルソナとするために写真やイラストを添えるのもよいでしょう。

どちらの場合も

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

の3C分析が大切です。
ペルソナは設定をした後も定期的な見直しでより正しく具体的な姿を維持していく必要があります

3C分析とはマーケティング分析の方法

ペルソナマーケティングのメリットデメリット

こちらではペルソナマーケティングのメリットデメリットについて説明をします。

メリット

ペルソナの設定には

  • ユーザーの視点に立てる
  • 関係者の認識を共有し合える
  • サービスのコンセプトが決まる

という3つのメリットがあげられます。
ユーザーの意識に寄り添うことは顧客のニーズを理解しやすくなり、適切な商品企画へとつながります。生き生きとした具体的なユーザーを想定できれば、関係者の認識も共有しやすいです。

「いつ・どこで・だれに・なにを」といった意思統一もでき、認識のズレもなくなります。無駄な作業もなくなるので効率的な仕事も目指せるのです。ペルソナの固定化によりマーケティング戦略の方向性も固まりコンセプトが定まります。

デメリット

デジタルマーケティングの高度化により、顧客ごとのニーズもすぐに把握でき、代表的なユーザー像としてのペルソナは不要との主張もあります。また、ペルソナに固執するあまり、新規顧客開拓の阻害につながるとの声も出ているのは事実です。

ただ、代表的なユーザー像の具体化は関係者同士の認識共有に大きな役割を果たすのも事実です。ペルソナを定期的に見直せば、新規顧客の見落としも防げます。

まとめ

具体的なユーザーを設定し戦略を練られるペルソナマーケティングは、従業員に向けて行えば、理想の仕事環境をもたらします。個人をペルソナの対象にすれば企業としてのコンセプトは固まり活動しやすくなるでしょう。

情報の収集・分析・見直しを定期的に行い既存も新規の顧客にも対応できれば、ペルソナマーケティングの効果を十二分に引き出せます。適切なペルソナの設定で、ユーザーニーズを満たせるよう常に心がけるようにしましょう。

(この記事は2014年に掲載した記事を2015年と2022年に加筆修正更新したものです)