営業の「パレートの法則(80:20の法則)」とは?売上の8割を作る「上位2割」に集中するABC分析の実践法

「毎日朝から晩まで走り回っているのに、なぜか目標達成できない…」
もしあなたがそう悩んでいるなら、原因は能力不足ではなく、「時間の使い方」にあるかもしれません。
あなたは、年間1,000万円買ってくれる「神様のような顧客」と、年間1万円しか買わないのに毎日のように電話してくる「手のかかる顧客」を、同じように扱っていませんか?
残酷な現実ですが、営業の世界で「平等」は「非効率」の始まりです。
この記事では、トップセールスが必ず実践している「パレートの法則(80:20の法則)」と、顧客を格付けして対応を変える「ABC分析」について解説します。
「捨てる勇気」を持つことが、あなたの売上を劇的に伸ばす第一歩です。
営業におけるパレートの法則(80:20の法則)とは?
パレートの法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した「結果の80%は、全体の20%の要素によって生み出されている」という経験則です。
営業現場での「80:20」の真実
これをBtoB営業に当てはめると、驚くべき実態が見えてきます。
- 売上の80%は、上位20%の優良顧客が作っている。
- 利益の80%は、上位20%の高単価商品が作っている。
そして、逆もまた真なりです。
- 営業時間の80%を、売上の2割しか生まない下位顧客(および事務作業)に使っている。
- クレームの80%は、下位20%の顧客から発生している。
つまり、売上の大部分を作ってくれている優良顧客(上位20%)には十分なケアができず、売上に貢献しない顧客(下位80%)への対応に忙殺されているのが、成果の出ない営業マンの典型的なパターンなのです。
実践!顧客を格付けする「ABC分析」のやり方
では、どうすればこの不均衡を是正できるのでしょうか?
そのための手法が、顧客を重要度別にランク分けする「ABC分析」です。
具体的な分析ステップ
Excelなどで顧客別の年間売上データを出し、売上の高い順に並べ替えてください。
そして、累計売上高の構成比(%)を計算し、以下のように分類します。
-
👑 Aランク(優良顧客・超重要)
累計売上の約70~80%を占める層。
顧客数で見ると、全体の約2割しかいません。
あなたの給料のほとんどは、この少数の顧客によって支えられています。 -
🛡️ Bランク(一般顧客・ポテンシャル)
累計売上の約80~95%までを占める層。
今後の育成次第でAランクになるか、Cランクに落ちるかの分かれ目です。 -
🍂 Cランク(下位顧客)
残りの売上5%程度しか占めない層。
顧客数で見ると、なんと全体の約5割(半分!)も存在します。
数は多いですが、ここを全部足しても売上への影響は微々たるものです。

【図解】ABC分析のイメージ。顧客数は少ないが売上の大部分を占める「Aランク」と、数は多いが売上貢献が低い「Cランク」が一目瞭然になります。
ランク別!「選択と集中」の営業戦略
ランク分けができたら、それぞれの対応方法を明確に変えます。
ここでのポイントは、「Cランクへの対応を極限まで減らし、浮いた時間をAランクに全ツッパする」ことです。
【Aランク】徹底的にエコ贔屓(ひいき)する
この層は絶対に他社に奪われてはいけません。
- 行動: 最優先で訪問スケジュールを入れる。用事がなくても顔を出す。
- 提案: 要望を聞く前に先回りして提案する。接待や役員面談もセッティングする。
- 目的: 信頼関係の強化と、LTV(顧客生涯価値)の最大化。
【Bランク】効率化してAランクへの昇格を狙う
Aランク予備軍を見極め、育てるフェーズです。
- 行動: 訪問頻度は減らし、Zoomなどのオンライン商談や電話を活用して効率化する。
- 提案: 定期的な情報提供を行い、アップセル(単価アップ)の機会を伺う。
- 目的: 育成と維持。見込みのない先は深追いしない。
【Cランク】勇気を持って「捨てる」
「捨てる」といっても契約解除するわけではありません。「営業マンの時間を使わない」という意味です。
- 行動: 原則として訪問しない。電話対応も最低限にする。
- 提案: 個別の提案書は作らない。メルマガやFAQサイトへ誘導し、自動化する。
- 対応: 無理な値引き要求や短納期要求には毅然と「No」と言う。損益分岐点を割るようなら、取引停止も辞さない覚悟を持つ。
「冷たいのでは?」と思うかもしれませんが、Cランクに時間を使うことは、大切なAランク顧客へのサービス低下(=会社の損失)につながると認識してください。
パレートの法則を活用する際の注意点
ABC分析は強力ですが、数字だけ見ていると落とし穴にはまることがあります。
売上だけでなく「利益率」も見る
「売上はAランク級に大きいが、極端な値引きをしていて赤字ギリギリ」という顧客がいませんか?
見かけの売上だけでAランクにしてはいけません。利益が出ていないなら、実態は「手のかかるCランク」です。
営業計数を使って、真の貢献度を見極めましょう。
「将来性」を加味する
現在はCランクでも、「急成長中のベンチャー企業」や「大手企業の子会社」などは、将来Aランクに化ける可能性があります。
単純な過去の売上データだけでなく、定性的なポテンシャルも加味してランクを調整してください。
まとめ:「やらないこと」を決めるのが戦略
戦略(Strategy)の語源は「捨てること」だと言われます。
成果が出ない営業マンは、すべての仕事を「足し算」で抱え込みます。
できる営業マンは、勇気を持って仕事を「引き算」し、空いた手で一番大きな果実を掴み取ります。
8割の無駄を捨て、2割の「金の鉱脈」に集中してください。
それが、最短でトップセールスになるための唯一の道です。
「上位20%」になりうる優良顧客に集中しませんか?
売上につながらない下位80%の顧客対応に時間を奪われていませんか?
非効率な訪問営業はやめて、貴社の売上に大きく貢献してくれる「Aランク候補」の企業だけに絞ってアプローチしましょう。
📊 数字に強い営業マンになる!「営業計数」シリーズ
- 基礎: 値入率と粗利率(見積もりの計算)
- 攻撃: ROI(投資対効果)の提案法
- 戦略: スキミング価格戦略(高く売る技術)
- 防御: 損益分岐点(値引きのリスク計算)
- 管理: キャッシュフロー経営(回収サイト)
- 長期: LTV(顧客生涯価値)の最大化
ABC分析に関するよくある質問
- Q. Cランク顧客を切り捨てると、売上が下がるのが怖いです。
- A. 短期的には数%下がるかもしれませんが、それ以上に「営業コスト(時間)」が削減されます。空いた時間でAランク顧客への提案を増やせば、Cランクの減少分などすぐに取り返せます。恐れずにリソースを配分変更してください。
- Q. 新規開拓ばかりしていて、既存顧客のランク付けができていません。
- A. 新規開拓は重要ですが、コストがかかります。最も効率よく利益が出るのは「既存のAランク顧客」です。まずは既存リストを整理し、休眠しているAランク級の企業がないか確認することをおすすめします。
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