営業マンのためのLTV(顧客生涯価値)とは?売りっ放しをやめて利益を最大化する計算式と戦略

「今月もノルマのために、新しい客を探さなきゃ…」
「契約は取れているはずなのに、なぜか会社が楽にならない…」
もしそう感じているなら、あなたは「穴の開いたバケツ」に一生懸命水を注いでいるのかもしれません。
苦労して獲得した顧客がすぐに離脱してしまえば、営業マンは永遠に新規開拓のプレッシャーから解放されません。
この状況を打破する鍵が、「LTV(顧客生涯価値)」です。
この記事では、用語の意味だけでなく、営業マンが「売りっ放しの焼畑農業」から脱却し、効率よく利益を最大化するための戦略を解説します。
なぜ、今「LTV(顧客生涯価値)」が営業に求められるのか?
LTV(Life Time Value)とは、日本語で「顧客生涯価値」のこと。
「ある顧客が、取引開始から終了までに、どれだけの利益を自社にもたらしてくれたか」を表す指標です。
「狩猟型」から「農耕型」へのシフト
かつての営業は、商品を売って契約書をもらえばゴール(狩猟型)でした。
しかし、SaaSやサブスクリプション(継続課金)モデルが主流となった現在、「契約」はゴールではなくスタートになりました。
- LTVが低い営業: 新規獲得ばかりに追われ、既存客を放置するため解約される。常に忙しい。
- LTVが高い営業: 既存客と長く付き合い、追加注文をもらう(農耕型)。新規開拓が減っても売上が安定する。
LTVを意識することは、会社の利益のためであると同時に、あなた自身の営業活動を楽にするために必要なのです。
営業現場で使えるLTVの計算式
マーケティングでは複雑な計算式を使うこともありますが、営業現場では以下のシンプルな式を頭に入れておけば十分です。
例えば、月額5万円のサービスを販売する場合で考えてみましょう。
- 短期解約の場合: 5万円 × 3ヶ月 = 15万円
- 長期継続の場合: 5万円 × 60ヶ月(5年) = 300万円
目の前の顧客を「5万円の売上」と見るか、「300万円の資産」と見るか。
この視点の違いが、日々の対応や提案の質を劇的に変えます。

【図解】LTVの計算イメージ。目の前の「点」の売上ではなく、将来にわたる「線」の売上(資産)として捉えることが重要です。
LTVを語る上で外せない「2つの法則」
なぜ既存顧客を大切にすべきなのか? その根拠となる有名な数字の法則があります。
1:5の法則(新規獲得はコストがかかる)
「新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる」という法則です。
飛び込み営業やテレアポで新しい客を見つける労力を「5」とすれば、既存客に「調子はどうですか?」と電話する労力は「1」で済みます。
同じ売上を作るなら、既存客にアプローチした方が圧倒的に利益率が高いのです。
5:25の法則(離脱防止の威力)
「顧客離れ(解約率)を5%改善すれば、利益は最低でも25%改善する」という法則です。
バケツの穴(解約)を少し塞ぐだけで、バケツの水(利益)は劇的に溜まりやすくなります。
新規を追いかける前に、まず「今いる客を逃がさない」ことが最優先です。
営業マンができるLTV最大化の3つの戦術
では、具体的にどうすればLTVを上げられるのでしょうか? 明日からできるアクションは3つです。
アップセル・クロスセル(単価アップ)
すでに信頼関係ができている既存客は、新規客よりも購入のハードルが低いです。
この関係性を活かし、顧客単価を引き上げる手法が有効です。
- アップセル(Up-sell): 上位プランへの乗り換え提案。
例:「御社の規模なら、こちらのProプランの方がコスパが良いですよ」 - クロスセル(Cross-sell): 関連商品のセット販売。
例:「このオプションもあれば、さらに業務が楽になりますよ」
これを定期的に行うだけで、獲得コスト(CAC)をかけずにLTVが跳ね上がります。
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解約阻止(期間延長)
解約の最大の理由は「不満があるから」ではありません。
実は「忘れ去られていたから(接触頻度の低下)」が一番多いのです。
用事がなくても「何かお困りごとはないですか?」と連絡を入れる。
たったそれだけの「御用聞き」が、契約期間を1年、2年と延ばします。
最初から「長く続く客」を選ぶ
LTVが低い最大の原因は、実は「入り口(ターゲット選定)」にあります。
「安さ」につられて来た客や、「無理な値引き」を要求する客は、他社が1円でも安ければすぐに乗り換えます。
逆に、御社の「価値」を理解してくれた客は長く続きます。
パレートの法則(ABC分析)を活用し、最初から「Aランク(優良顧客)になりうる企業」だけを狙って営業することが、LTVを高める一番の近道です。
まとめ:LTVは営業マンを自由にする
LTVの視点を持つと、営業の世界が変わります。
- 「今月の数字」だけでなく「将来の利益」が見えるようになる。
- 無理な売り込みをしなくなり、顧客の成功(サクセス)を考えるようになる。
- 結果として、顧客から信頼され、紹介が増え、営業がどんどん楽になる。
「売って終わり」の焼畑農業を卒業し、顧客と共に成長するパートナーを目指しましょう。
「長く付き合える」優良企業を開拓しませんか?
LTVを高める一番の近道は、最初から「質の良い顧客」と契約することです。
安売り目当ての顧客ではなく、貴社の価値を理解し、長く取引できる優良企業のリストを作成してアプローチしましょう。
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- 基礎: 値入率と粗利率(見積もりの計算)
- 攻撃: ROI(投資対効果)の提案法
- 戦略: スキミング価格戦略(高く売る技術)
- 防御: 損益分岐点(値引きのリスク計算)
- 管理: キャッシュフロー経営(回収サイト)
- 長期: LTV(顧客生涯価値)の最大化
LTVに関するよくある質問
- Q. LTVはどうやって計算期間を決めればいいですか?
- A. サブスクリプションの場合は「平均解約率の逆数(1÷月次解約率)」で平均継続期間を算出するのが一般的です。買い切りの商品の場合は、「過去3年間の平均購入回数」などを基準に設定することが多いです。
- Q. CAC(顧客獲得コスト)とは何ですか?
- A. Customer Acquisition Costの略で、1社の顧客を獲得するためにかかった費用のことです。「LTV > 3 × CAC」が健全な経営の目安と言われています。
参考・出典サイト
(2025年に公開したページを、26年に加筆修正更新した記事です)
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