DMARCとは?メリットや普及率設定方、SPFとDKIMとの違い
最近よく、SPF、DKIM、DMARCなどの言葉を耳にするようになりました。これらはメール送信元の認証方法を定めたものであり、悪意のあるスパムメールをブロックするために用いられます。
この中でもDMARCは、より高度な認証プロトコルであり、メールサービスを提供する企業にとって欠かせない仕組みとなっています。DMARCを設定することによって、企業が行うフィッシング対策や不正アクセスへの対策が高まり、安全性を確保できます。
しかし、設定方法や確認方法がわからないという声もあります。そこで今回は、DMARCの設定方法や確認方法、普及率について詳しく解説します。
ドメイン認証のDMARCとは
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)は、電子メールの偽装を防ぐための電子メール認証プロトコルです。ドメイン所有者はDMARCポリシーをDNSレコードに記載し、それに基づいて受信サーバーはメールの認証を行います。これにより、偽装されたメールが配信されることを大幅に減らすことが可能となります。
DMARCは、認証プロトコルとしての役割を果たすだけでなく、報告と一貫性のあるポリシーの適用も提供します。ドメイン所有者は、受信サーバーに対して、DMARCポリシーに基づいてメールの取り扱い方法を指示することができます。これにより、ドメインの信頼性が向上し、受信者は偽装されたメールからのリスクを軽減することができます。
DMARCの導入により、企業や組織は電子メールのセキュリティを向上させることができます。偽装攻撃からの保護を強化し、信頼性の高いコミュニケーションを確立することができます。さらに、DMARCの報告機能を活用することで、送信されたメールの状況を把握し、セキュリティ対策の改善に役立てることも可能です。
DMARCの普及状況
DMARCは、現在BtoB企業の間で普及しつつありますが、まだ導入していない企業も多いのが現状です。2020年の導入割合は、国内では21.0%、海外では34.7%でした。DMARCの普及率はまだ不十分でありその理由の一つには、その設定と管理の難易度が挙げられます。
しかしその重要性は徐々に認識されつつあります。特に金融業界など、セキュリティが求められる業界では、フィッシング攻撃やスパムから保護するための重要なツールとしてDMARCの導入が進められています。
一方で、中小企業などでは、導入のコストや専門知識が必要となることから、まだまだ導入に躊躇している企業も少なくありません。このため、簡易な設定や低コストで導入できるソリューションが求められています。これらの課題を解決することで、ビジネスシーンにおけるDMARCの普及率はさらに向上すると期待されます。
SPFとDKIMとDMARCの違い
SPF(Sender Policy Framework)、DKIM(DomainKeys Identified Mail)、そしてDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)は、いずれもメールセキュリティの重要な要素であり、それぞれ異なる役割を果たしています。
まずSPFは送信者のドメインが正当であることを検証する役割を果たします。具体的には、メールが送信されてきたIPアドレスが、そのドメインからメールを送信する権限があるかどうかを確認します。これにより、ドメインのなりすましや不正なメール送信を防ぐことができます。
一方、DKIMは電子署名技術を使用して、メールの内容が送信途中で改ざんされていないことを保証します。送信者は、自分のプライベートキーでメールに署名し、受信者は公開されている公開キーを使ってその署名を確認します。これにより、メールの信頼性や完全性を確保することができます。
そして、DMARCは、SPFとDKIMの結果を元にメールの認証結果を評価し、それに基づいてどのようにメールを取り扱うかを指示します。また、ドメイン所有者に対してメールの送信状況の報告を提供するため、SPFやDKIMによる認証が正しく機能しているか、または不正なメールが送られていないかを確認することができます。
これらのプロトコルの違いを理解することで、メールセキュリティの全体像を把握し、各プロトコルが相互に連携してどのように働いているかを理解することができます。これにより、より安全で信頼性の高いメール環境を構築することができます。
参照:googleworkspaceページ https://support.google.com/a/answer/2466563?hl=ja
DMARCレコードの設定方法
DMARCレコードの設定には、ドメインのDNSサーバーにテキストレコードを追加する必要があります。一般的には、ドメイン管理者やサーバー担当者が行うことが多いです。DMARCレコードをドメインに設定するための基本的な手順は以下の通りです。
DMARCポリシーの決定
まず、どのようなDMARCポリシーを適用するかを決めます。ポリシーは、認証に失敗したメールをどのように扱うかを定めたものです。主な選択肢には、’none’(報告のみ)、’quarantine’(疑わしいメールを隔離)、’reject’(認証に失敗したメールを拒否)があります。
DMARCレコードの作成
次に、決定したポリシーに基づきDMARCレコードを作成します。DMARCレコードはテキスト形式のDNSレコードで、”v=DMARC1; p=ポリシー”の形式で記述します。ここで”v=DMARC1″はDMARCプロトコルのバージョンを示し、”p=ポリシー”でポリシーを指定します。
DMARCレコードの公開
作成したDMARCレコードをドメインのDNSに公開します。具体的には、”_dmarc.あなたのドメイン名”という名前でTXTレコードを作成し、その値としてDMARCレコードを設定します。
DMARCレコードの検証
最後に、設定したDMARCレコードが正しく公開されているかを確認します。これは、DMARCレコードを問い合わせることで行います。
以上が大まかな流れですが、DMARCの設定は複雑であり、誤った設定はメール送信に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、設定は慎重に行い、必要であれば専門家の支援を受けることをおすすめします。
DMARC設定の確認方法
DMARCが正しく設定されているかどうかを確認するためには、以下の手順を実行します。
レコードの問い合わせ
設定したドメイン名に対してDNSのTXTレコードを問い合わせます。具体的には、”_dmarc.あなたのドメイン名”という名前で問い合わせます。
DMARCレコードの確認
問い合わせ結果からDMARCレコードを探します。DMARCレコードは、”v=DMARC1″という文字列で始まるはずです。
ポリシーの確認
DMARCレコードに記述されたポリシーが、設定した内容と一致していることを確認します。
以上の手順を実行してDMARCレコードが問い合わせられ、ポリシーが正しく設定されていれば、DMARCが正しく設定されていると言えます。
ただし、DMARCの設定は複雑であり、また設定内容はメール送信の可否に直結しますので、設定や確認作業には十分注意が必要です。
DMARCを実装のベストプラクティス
DMARCを実装するためのベストプラクティスはいくつかあります。
DMARCポリシーの段階的な導入
DMARCポリシーを一度にフルに導入するのではなく、段階的に導入することをおすすめします。まず最初に、”none”ポリシーを設定し、DMARCのレポートを分析して不正なメール送信を特定します。その後、問題がなければ”quarantine”または”reject”ポリシーを適用します。この段階的なアプローチにより、導入時の影響を最小限に抑えながら、DMARCの効果を最大化することができます。
レポートの活用
DMARCは認証の失敗に関する詳細なレポートを提供します。これらのレポートを分析することで、メールの配信問題を特定し、解決策を策定することができます。例えば、認証の失敗が特定のドメインからよく発生している場合、そのドメインの設定に問題がある可能性があります。レポートの活用により、問題の特定と改善を行うことができます。
SPFとDKIMの適用
DMARCはSPF(Sender Policy Framework)とDKIM(DomainKeys Identified Mail)と連携して動作します。これらのプロトコルを適切に設定しておくことで、DMARCの効果を最大化することができます。SPFは送信元ドメインの認証を行い、DKIMはメールの改ざん検証を行います。このように、複数の認証手法を組み合わせることで、不正なメール送信を防止するセキュリティレベルを向上させることができます。
DMARC専門のサービスの利用
DMARCを導入する際には、DMARCの専門サービスを利用することも考えられます。これらのサービスは、DMARCの設定やレポートの分析、問題解決の支援を提供します。専門のサービスを利用することで、DMARC導入の手間を軽減し、効果的な実装を行うことができます。
これらの詳細なベストプラクティスを遵守することで、DMARCを効果的に導入し、電子メールにおける偽装とスパムを防ぐことができます。
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