ゾーニング (Zoning) とは?ゴールデンゾーンから業種事例
ゾーニング (Zoning) とは区分する、区画するなどの意味をもつ単語です。
マーケティングでは主として小売業における、売り場でのカテゴリー分けされた商品群ごとの配置区画を指す言葉です。
コンビニエンスストアの例で言えば飲料、雑誌、菓子、お弁当類といった形でカテゴリー分けされた商品群と、その商品配置を含めた要素がゾーニングとなります。
広い意味では、エスカレータやエレベーターの設置場所、建物への出入り口から、売り場への導線設定、ビル内の店舗間・売り場間の移動経路の設定もゾーニングの要素として扱われることもあります。
また商品やサービスの年齢区分、利用対象の区分などを指してゾーニングという場合もあり、小売業だけでなく医療や建築などの分野でも用いられる専門用語です。
ゴールデンゾーン
商品陳列に関連するゾーニングにおいて、ゴールデンゾーンと呼ばれる領域があります。
ゴールデンゾーンとは、人の目に留まりやすく、手に触れやすい高さにある領域のことで、人間の首下からおへその上あたり、床から100cmから140cmの範囲とされています。
このゴールデンゾーンに季節ものやセール商品を陳列し、売上アップを狙うのが一般的です。
通常、小売店では来店客が商品を選択するまでの時間が短く、売り場全体を均等に見て回るわけではないため、ゴールデンゾーンに配置する商品が店の売上やイメージまでも左右することがあり、とても重要な要素になっています。
ゾーニングの形式
商品陳列のゾーニングでは、バーチカル陳列とホリゾンタル陳列の2つの代表的なパターンがあります。
バーチカル陳列は、縦方向にカテゴリー分けされた商品群を並べるもので、コーヒーならコーヒー、ガムならガムで縦に統一された商品群で構成し、顧客の目を上から下、下から上へと流して商品が目に留まりやすいようにする方法です。
バーチカル陳列であれば、どの商品群も均等にゴールデンゾーンに入れることができるため、来店客に商品を見てもらう機会を均等化できるメリットがあります。
一方ホリゾンタル陳列は、横方向にカテゴリー分けされた商品を並べる方法で、来店客の目線を横に切る方法です。
バーチカル陳列とは違い、特定の商品群をゴールデンゾーンに入れることで、セール品ならセール品、季節ものなら季節ものといった形で売り場ごとの印象を強めることができます。
業種ごとのゾーニング
消費者心理を意識したゾーニングの活用はさまざまな業種で見られます。
コンビニエンスストア
コンビニでは、店舗の入り口側に雑誌コーナーを配置して来客を促す仕掛けを作っているほか、購入客が多い飲料コーナーを店の奥に配置して、ほかの商品が目に入りやすいようにするゾーニングを行っています。
また売れ筋商品や季節商品をゴールデンゾーンに配置したり、商品棚をまるごとキャンペーン商品で分けるなど、狭い店舗面積を意識したゾーニングがカギとなります。
アパレルショップ
店舗全体の印象が売り上げにかかわるため、店舗の雰囲気や空間づくりなど、商品単体ではなく売り場のゾーニングがポイントになります。
売り場では新作やセール品でゾーニングするなど商品が目につきやすく手に取りやすいよう配置します。
飲食店
飲食店は入店から退店まで、快適に過ごす空間づくりがゾーニングのポイントになります。
椅子やテーブルの配置、通路の広さ、トイレの位置のほか、家族席、カップル席、大人数席など来店客の特徴を想定した席の設置も、売り上げに関連する重要な要素です。
ゾーニングのまとめ
このようにゾーニングは多様な要素を含んだマーケティング用語です。実際にゾーニングを行う際は、商材の特性や店舗規模、立地、品ぞろえ、季節、天気などを考慮しつつ、来客属性、行動パターン、売れ筋商品などをふまえた上で検討していく必要があるといえるでしょう。
(この記事は2014年に掲載した記事を2015年と2022年に加筆修正更新したものです)
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