フラッシュバナー(Flash banner)とは、Adobe Flash(アドビ フラッシュ)で作成されたアニメーション形式のバナー広告のことです。

Flashは1996年に登場し、動画再生を含む訴求効果の高いコンテンツ形式として普及しました。しかし、そのシステム負荷や脆弱性の問題から2010年頃を境に衰退することになります。
2020年12月末をもってAdobe社によるFlashの提供サポートも終了しており、ほとんどのブラウザでフラッシュバナーを見ることはできません。

Adobe Flashは旧称をMacromedia Flashといいます。1996年に米国Macromedia社が、ウェブサイト向けの双方向性を持ったアニメーション作成ソフトとして「Macromedia Flash」を発売したことが始まりです。

Flashは、Gif形式に比べて高画質で動きの滑らかなアニメーションを実現しました。マウスの動きに合わせてイベントを実行するインタラクティブ性の高さや、動画再生や音声を利用したリッチなコンテンツ性で一大トレンドになったといえます。
ブロードバンドの普及も成長の後押しになりました。その後、MacromediaがAdobe Systems(現Adobe)に買収され、Adobe Flashと改称します。
フラッシュバナーイメージ画像
フラッシュバナー含め、インターネット広告にとってFlashは、そのコンテンツ性で表現力の向上に大きく貢献しました。
Flashは音声や動画を流すだけでなく、マウスの動きに反応する双方向性があったからです。
利用者の目を引き記憶に残りやすいため、テキスト広告に比べて高い広告効果を発揮します。

しかしフラッシュバナーやフラッシュ広告など、所謂リッチメディア広告は、設置場所や広告の動きによっては利用者に不快感を与える場合もあります。
特にフローティング広告など、本来の目的であるウェブサイトの閲覧を邪魔することにもなり、設置には注意が必要です。

急速に普及したFlashですが、セキュリティの脆弱性や読み込み時間の長さ、ブラウザのクラッシュ原因となるなど、ネガティブな側面も無視できないものでした。とくにセキュリティの脆弱性は度々報告され、マルウェア感染やサイバー攻撃の対象となるなど大きな問題となりました。そして転換点となったのが、タッチパネルへの適応性の低さなどを理由に、2007年発売のApple社のiPhoneにFlashが採用されなかったことです。その後スマートフォンが普及するにつれて、Flashは衰退していくことになります。

Adobe自身も2011年にモバイル端末向けのFlash開発を終了し、2020年末でのプラグイン自体のサポート提供終了を発表しました。
それを受けて、2015年頃には主要ブラウザの多くでFlashコンテンツがブロックされています。
今ではFlashを利用していた機能は、プラグインを使わずに動画再生を可能とするHTML5に置き換えられています。

(このページは2014年に掲載した記事を2015年と2021年9月に加筆修正更新したものです)