在版(ざいはん)とは、一度紙媒体の紙面に掲載し印刷に使用した広告素材を、再利用の可能性を踏まえ、一定期間出版社や新聞社に保存しておくことです。
また保存している広告素材そのものをさすこともあります。

在版は、広告入稿データのデジタル化以前は、保管されているフィルムや凸版、印画紙そのもののことでした。アナログ印刷の時代には、手作業で製版用の原稿となる版下を作成し、版下をもとにして製版作業を行っていました。
製版から印刷するための刷版が作られていたため、版下のことを在版と呼ぶこともありました。

コンピューターやインクジェットプリンターが普及してからは、制作工程のデジタル化が進んでいます。それに伴い、出版社や新聞社のデータ保管用サーバー内に保管されているデジタル原稿を在版と呼ぶこともあります。
デジタル化が進むのに合わせて、在版フィルムをデータ化するビジネスも登場しました。

広告の素材
Pixabay画像:広告の素材

在版は、再利用する際に新規に版の作成をする必要がありません。そのためスピード感のある広告の掲載が可能です。また版の新規作成費用がかからないという利点もあります。
ですが在版の保管環境が悪かったり、在版からの改版や修正が発生したりすることがあります。

その場合、新規作成以上に手間がかかる可能性を考慮することも必要です。
また在版を利用しようとする際に、以前に広告を掲載した時から掲載紙の広告サイズが変更になっていると、在版を利用できない場合もあります。

在版に関するガイドラインとして、一般社団法人日本雑誌協会、一般社団法人日本雑誌広告協会、一般社団法人日本広告業協会が推進する「雑誌広告デジタル送稿推進協議会」が、2013年に策定した「雑誌広告原稿管理ガイドライン」があります。

ガイドラインによると、「雑誌広告原稿の管理は、原則として、広告主から委託を受けている広告会社の責任と義務において行い、出版社は広告会社の掲載指示に従って原稿を取り扱う、原稿を再利用する場合は、広告会社がその都度送稿を行う」としています。

ガイドライン上は広告会社が都度送稿を行うとなっていますが、出版社や新聞社は掲載から3〜4ヶ月をデータの保存期間としている場合が多いです。
ですが、中には在版流用を認めていない出版社や在版利用の場合は広告内容の修正を受け付けない出版社も存在します。会社や紙媒体によって在版の利用方法や管理規定が異なるため、注意が必要です。

(このページは2014年に掲載した記事を2015年と2021年に加筆修正更新したものです)