ミステリーコール (mysterycall) とは、コールセンター・オペレータの応対品質を評価する方法の一つで、第三者(客)を装ってする電話のことです。
コールセンターのサービスレベルだけでなく、オペレーターごとの応対力やマナー、話し方などの差異をチェックし、詳細を把握します。

ミステリーコールは自社だけでなく、他社のコールセンターに対して行うケースもあり、自社に行う場合と同様に、サービスレベルのチェックを主目的に実行されます。

携帯電話の画面が?
Pixabay画像:携帯電話の画面が?

ミステリーコールの目的と効果

ミステリーコールは、顧客側からオペレーターのサービスレベルの確認がその目的の一つです。
マニュアルに沿って対応しているか、知識レベルは問題ないか、クレームへの対応力はどうか、顧客に寄り添って対応できているかなど、オペレーターとコールセンターの課題を洗い出していきます。

ミステリーコールの効果としては、応対における問題点とその要因がどこにあるかをチェックし、その解決の方策を作るベースづくりに役立つ点が一つあります。
もう一つはコールセンターの強みと弱みを把握し、サービスレベルの向上を促すための指針作りと、研修内容の改善が可能になる点です。

コールセンターにおけるオペレーターは単なる電話番ではなく、顧客とその企業をつなぐ接点となるため、その応対が製品やサービスの売上に影響を与える可能性があります。
ミステリーコールは応対の高品質化とオペレータースキルの均質化に寄与するため、コールセンターを抱える企業にとって欠かせないステップの一つです。

ミステリーコールのメリット

メリットをまとめると以下の3点があげられます。

品質の向上とスキルの均質化

先ほども述べたように、コールの品質向上とオペレーターのスキルを均質化させるためにミステリーコールは役立ちます。ミステリーコールでしかあぶりだせない、オペレーターの詳細な対応ログにより、社内では把握しきれない改善点が見えてきます。未熟な部分の指摘と共有を行い、全体の応対スキル改善につなげていきます。

またミステリーコールを他社に対して行えば、自社との比較において客観的な評価と課題が抽出できるため、それをもとに自社コールセンター改善のヒントを得ることもできるでしょう。

顧客満足度の向上

応対品質の向上は、お客様が抱くブランドイメージの向上につながり、結果として顧客満足度の向上が期待できます。
コールセンターの対応が丁寧であり、かつ的確な案内を続けることで、顧客の問い合わせに対するハードルも下がり、顧客との接点が増えます。接点の増加は、サービス利用機会の増加やリピーターの創出を促し、結果的に自社利益の増加も期待できるのです。

基準の改善

自社と他社のコールセンター比較や、拠点間の自社コールセンターにおける比較を行い、応対品質や処理能力の基準を見直すきっかけになるのもミステリーコールのメリットです。
自社と他社を比較したときに、自社になくて他社にあるもの、あるいはその逆の要素をふまえ、足りない部分を組み込むことでさらなる品質向上が狙えます。
拠点間のコールセンターにおいては、コールセンター同士の比較・分析から得られた要素を、統括部門が把握・指導し、相互の差異を収れんさせるなどして、品質向上に努めることができます。

ホットボイス (Hot Voice) とは顧客の生の声

ミステリーコールの流れ

以下のような流れで進めていきます。

  1. ヒアリング
  2. 目標・スケジュール設定
  3. シナリオ・スクリプト作成
  4. 実施
  5. カリブレーション
  6. 評価
  7. 結果報告

ミステリーコールの目的を前提に、どんな調査を行うのかをヒアリングし、実施期間から結果報告までのスケジュールを決めていきます。

次にどのような流れで会話を行うのかを決めるため、質問項目やよくある問い合わせ内容をふまえてシナリオ・スクリプトを作成し、ミステリーコールを実施します。
ミステリーコール後、オペレーターの対応を客観的に評価するため評価基準、項目を定めるカリブレーションを実行。理由と根拠を前提としてオペレーターの印象と対応事実を記録していきます。

評価においては、評価基準に従って調査項目ごとにチェックを行い報告書にまとめます。質問に対して求められる対応など、顧客満足度の向上を軸として設定した基準に沿った評価が必須です。
結果報告書をまとめ、それを管理部門だけでなくコールセンター、オペレーターにも共有し、自己評価との乖離がないかなど改善点を洗い出してもらいます。

まとめ

ミステリーコールは専門の会社に依頼して、定期的に実施することで高い効果が期待できます。
自社コールセンターのサービスレベルを知り、オペレーターの教育や研修の実施、指導指針の策定を行うのに有効な手段となるでしょう。

(この記事は2014年に掲載した記事を2015年と2022年に加筆修正更新したものです)