メルマガとメールDMは全く別物!目的・法律・効果の違いを5分で完全理解
「メールマーケティングを始めたいが、メルマガとメールDM、どちらを送ればいいのか?」
もしあなたが今、このようにお悩みであれば、まずは一度手を止めてください。なぜなら、この2つは「メールを送る」という手段こそ同じですが、スポーツで言えば「野球」と「サッカー」くらいルールや目的が異なるものだからです。
この違いを理解しないまま、「新規開拓のためにメルマガを送る(=誰にも読まれない)」「既存客に売り込みのメールDMを送り続ける(=嫌われてブロックされる)」という失敗を犯している企業が後を絶ちません。
本記事では、BtoBマーケティングにおいて混同されがちな「メルマガ」と「メールDM」の決定的な違い、法的ルールの差、そして自社の目的に合わせた正しい使い分けについて解説します。

一目でわかる!メルマガ vs メールDM 比較表
まずは全体像を把握しましょう。最大の違いは、送る相手が「知り合い(保有リスト)」か「面識なし(外部リスト)」かという点です。
| 項目 | メールマガジン(メルマガ) | メールDM(ダイレクトメール) |
|---|---|---|
| 役割のイメージ | 農耕型(育成・ファン化) | 狩猟型(獲得・開拓) |
| ターゲット | 既存客・名刺交換済み (すでに面識がある) |
新規ターゲット (まだ面識がない) |
| 主な目的 | 信頼関係の構築・維持 リピート促進・忘れられないこと |
アポイント獲得・商談創出 認知拡大・きっかけ作り |
| 内容の傾向 | お役立ち情報・ノウハウ 事例・コラム・ニュース |
課題提起・解決策の提示 キャンペーン・特典(オファー) |
| 成功指標(KPI) | 開封率・クリック率 解約率(低いほど良い) |
返信率・問い合わせ数 アポイント獲得数 |

図:長期的な信頼を築く「メルマガ(農耕)」と、短期的な成果を狙う「メールDM(狩猟)」の違い
メールマガジン(メルマガ)の特徴:関係性の維持
メルマガは、すでに名刺交換をした相手や、過去に取引があった顧客、資料請求をしてくれた見込み客など、「自社のアドレス帳にすでに入っている人」に対して送るものです。
「忘れられない」ためのコミュニケーション
BtoBの商材は、顧客が検討してから購入するまでの期間(検討リードタイム)が長い傾向にあります。
一度接点を持った後、放置していれば顧客は競合他社に流れてしまいますが、定期的に有益なメルマガを送ることで「〇〇のことなら、あの会社だな」という第一想起(マインドシェア)を獲得し続けることが最大の目的です。
売り込みすぎはNG
メルマガの読者は「情報」を求めて登録しています。毎回のように「買ってください」「キャンペーンです」と送ると、すぐに購読解除されてしまいます。「ギブ(情報提供)8割、テイク(宣伝)2割」のバランスが鉄則です。
メールDM(ダイレクトメール)の特徴:新規の獲得
一方、メールDMは、まだ自社のことを知らない企業に対し、「こちらから能動的にアプローチ(営業)する」手法です。いわば「デジタル版の飛び込み営業」です。
「きっかけ」を作るドアノックツール
相手はこちらのことを知りませんから、悠長にコラムを読ませる時間はありません。
「貴社の〇〇という課題を解決できませんか?」「このメールを見た方限定で、無料診断を実施しています」といった、単刀直入かつメリットのあるオファー(提案)を投げかけ、反応してくれた「今すぐ客」を見つけ出すのが役割です。
オファー(特典)の強さが命
面識のない相手からのメールを開き、問い合わせてもらうためには、「怪しさ」を上回る「メリット」が必要です。そのため、無料サンプル、小冊子プレゼント、診断、トライアルなど、強力なオファーを用意することが成功のカギとなります。
絶対に知っておくべき「法律(特電法)」の違い
メルマガもメールDMも、どちらも「特定電子メール法(特電法)」という法律の対象ですが、実務上の運用ルールには決定的な違いがあります。
原則はどちらも「オプトイン(事前同意)」が必要
基本的に、広告宣伝メールは「送ってもいいですか?」「いいですよ」という同意(オプトイン)を得た相手にしか送ることができません。
メルマガの場合、名刺交換や資料請求のフォームで「メールを送付することに同意する」という許諾を得ているため、問題なく配信できます。
メールDM(新規開拓)ができる法的根拠
では、なぜ面識のない相手へのメールDM(営業メール)が許されるのでしょうか?
特電法には、以下の例外規定があるからです。
【特定電子メール法の例外】
「自己の電子メールアドレスをインターネット上で公表している団体・個人事業主」に対しては、同意なしで送信することが認められています。
つまり、企業のWebサイト等で「info@…」などのアドレスを公開している場合、「ビジネス上の連絡は受け付けていますよ」とみなされ、送信が可能になります。
例外的に送れるとはいえ、以下の義務を守らなければ違法(スパム)となります。
- すぐに配信を停止できる「オプトアウト(解除)リンク」を設置すること
- 送信者の氏名・住所などの情報を正しく表示すること
- 「営業メールお断り」と明記されているアドレスには送らないこと
【結論】どちらを使うべきか?最強の「ハイブリッド戦略」
「メルマガとメールDM、どっちがいいの?」という質問への答えは、「両方を組み合わせて使う」が正解です。
BtoBマーケティングで成果を出している企業は、この2つを以下のように使い分けています。
Step1. メールDMで「見込み客(リード)」を発掘する
まずは外部のリストを使い、メールDMで広くアプローチします。ここで目指すのは「即契約」ではなく、「無料小冊子の請求」や「セミナー申し込み」などの反応を得ることです。
反応があった時点で、その顧客は「面識のない他人」から「自社のリスト(見込み客)」に変わります。
Step2. メルマガで「育成(ナーチャリング)」する
DMで獲得したリストに対し、今度は定期的にメルマガを送ります。有益な情報を提供し続け、信頼関係を築きます。
そして、顧客の検討タイミングが来た時に「相談させてください」と連絡をもらう、あるいは商談を打診するのです。
この「DMで集めて、メルマガで育てる」という2ステップの仕組みこそが、最も効率的な売れる型です。
メリット・デメリット・適性比較
| 比較項目 | メールマガジン(育成) | メールDM(新規) |
|---|---|---|
| 最大のメリット | 資産になる 信頼が積み上がり、長期的にLTV(顧客生涯価値)が向上する。 |
即効性がある 送ったその日に反応があり、短期間で商談を獲得できる。 |
| デメリット・リスク | 時間がかかる すぐに売上には直結しにくい。継続的なコンテンツ作成の手間がかかる。 |
嫌われるリスク 送付先によってはクレームになる可能性がある。リストの枯渇。 |
| 必要なもの | 「読ませる」文章力 役立つノウハウ・情報 |
「行動させる」コピー 魅力的な特典(オファー) |
| こんな企業におすすめ |
|
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▼ メール営業の成果を最大化する「全体戦略」を学ぶ
メルマガとメールDMの使い分けは重要な戦術ですが、それだけでは不十分です。ターゲット選定、リスト管理、法規制など、メールマーケティングの全体像を体系的に学びたい方は、以下の「教科書」をご覧ください。
まとめ:道具(ツール)の役割を間違えると怪我をする
- メルマガ:既存客(知り合い)に向けた、信頼構築のための「手紙」。
- メールDM:新規客(他人)に向けた、きっかけ作りのための「チラシ」。
メルマガで売り込みばかりすれば嫌われますし、メールDMで長文のコラムを送っても読まれません。
それぞれの特性を正しく理解し、自社のフェーズ(新規開拓が必要なのか、既存客の離脱を防ぎたいのか)に合わせて最適な手段を選んでください。
▼ メールDM用の「高品質なリスト」をお探しですか?
新規開拓の成功率は「リストの質」で決まります。
当社では、特電法に基づき、過去にクレーム等のあったアドレスを除外した安全な企業リストを提供しています。
メルマガとメールDMに関するよくある質問
Q. メールDMを送って反応がなかった企業を、勝手にメルマガに登録してもいいですか?
いいえ、絶対にNGです。
メールDMを送ること(特例)と、継続的にメルマガを送ること(原則)は法的要件が異なります。相手から「配信希望」の意思表示や「名刺交換」などの接点がない状態で、勝手にメルマガリストに追加するのはスパム行為となり、違法です。
Q. 開封率はどちらの方が高いですか?
一般的には、関係性ができている「メルマガ」の方が開封率は高くなります(平均20%前後)。一方、新規宛ての「メールDM」は開封率が低くなりがちですが(数%〜10%程度)、件名やオファーの工夫次第で大きく改善可能です。
Q. メール配信ツールは同じものを使っても良いですか?
できれば分けることを推奨します。特に大量のメールDM(新規開拓)を送る場合、到達率の低下やサーバーの汚れ(レピュテーション低下)のリスクがあります。大切な既存客向けのメルマガが届かなくなるリスクを避けるため、新規開拓用には専用の配信システムを使うのが安全です。
本記事の執筆にあたり参照した文献・情報ソース
- 総務省:特定電子メールの送信等に関するガイドライン
- 消費者庁:特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)
- 一般社団法人日本ダイレクトメール協会:DMメディア実態調査
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