代表アドレス(info@)攻略の決定版|受付を突破し決裁者に届ける「転送依頼」の技術
「info@やcontact@などの代表アドレスにメールを送っても、どうせ事務的に処理されて読まれないだろう」
そのように考えて、送信リストから代表アドレスを除外してはいませんか?実は、それは非常にもったいない「機会損失」をしている可能性があります。
確かに、大企業の代表アドレスは広報や総務の厳重なフィルタがかかっています。しかし、日本の企業の99%を占める中小企業においては、「info@」は社長や役員のパソコン・スマホに直接転送されているケースが非常に多いのです。
本記事では、ロールアドレス(代表アドレス)の基礎的な仕組みやリスクについては割愛し、「いかにして事務的なフィルタを通過し、決裁者にメールを届けるか」という、具体的な攻略テクニックに絞って解説します。
※ロールアドレス(info/support等)の仕組みや、配信時に気をつけるべき法的リスク(特電法など)の基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ ロールアドレスとは?営業メールでの送信可否・リスク・除外設定を完全解説

なぜ「info@」は宝の山なのか?数字で見る実態
BtoBの営業リストを取得すると、業種にもよりますが、その約30%〜40%は「info@」や「contact@」などの代表アドレスが占めています。
もしあなたが「個人名のアドレス(担当者直通)じゃないから」という理由だけでこれらを除外しているとしたら、単純計算で市場の約4割を最初から捨てていることになります。
中小・零細企業では「info = 社長直通便」
従業員数名の小規模事業者や中小企業では、専任の受付担当がおらず、代表アドレスに届くメールを社長自身がチェックしていることが多々あります。また、事務員が確認している場合でも、「社長宛て」と思われるメールはチャットツール(SlackやChatwork)などで即座に共有されるフローが組まれていることが一般的です。
つまり、書き方さえ間違えなければ、info@は「最も手軽にトップアプローチができる入口」になり得るのです。
事務的フィルタを突破する「3つのバイパス(迂回)戦術」

図:事務的なフィルタ(受付)を突破し、決裁者に届けるための「転送依頼」の仕組み
代表アドレス攻略の最大の壁は、メールを一次受けする事務スタッフ(あるいは社長自身の事務処理モード)による「営業メール選別(ゴミ箱行き)」です。
これを回避し、「担当者に確認しなきゃ」と思わせるための3つの戦術を紹介します。
戦術1:件名に「業務連絡感」を出す
「【ご提案】売上アップツールの件」のような件名は、一瞬で「売り込み」と判断されます。
事務スタッフが削除できないのは、「業務に関連するかもしれないメール」や「自分では判断がつかないメール」です。
- × 悪い例:【新サービス】〇〇のご案内
- ○ 良い例:貴社〇〇事業における協業のご相談
- ○ 良い例:(社名)様へ:Webサイト運営のご担当者様はおられますか?
戦術2:冒頭で「転送(ルーティング)」をお願いする
本文の書き出しで、明確に「誰に読んでほしいか」を指定します。
「突然のご連絡失礼いたします。貴社の〇〇部門の責任者様へお取り次ぎ願えますでしょうか」と一行目に書くことで、受信者のタスクを「内容を吟味する」ことから「適切な人へ転送する」ことへと切り替えさせます。
戦術3:売り込み色を消した「パートナーシップ」の提示
「買ってください」ではなく、「御社のビジネスに貢献できる情報があるのですが、担当者様にご判断いただきたい」というスタンスを取ります。これにより、事務スタッフは「勝手に捨てて、後で社長に怒られたら困る」という心理が働き、転送される確率が高まります。
info@ で反応が取れるメール例文(Before / After)
では、実際にどのような変更を加えればよいのか、具体的な例文で比較してみましょう。
成功するメールは「スタンス」が違う(比較表)
| 項目 | × 従来の売り込みメール | 〇 攻略型の転送依頼メール |
|---|---|---|
| 心理的ゴール | 「買わせたい」 (受信者は警戒する) |
「担当者に渡してほしい」 (受信者は事務処理する) |
| 件名 | 【ご提案】新商品のご案内 | 貴社〇〇事業に関する提携の件 |
| 冒頭の挨拶 | 突然のご連絡失礼します。弊社は~(自己紹介) | 〇〇のご担当者様はおられますか?(宛先確認) |
| アクション | 打ち合わせをお願いします | 担当者様へ転送をお願いします |
【Before】ゴミ箱行きのメール
件名:【格安】営業リスト作成ツールのご案内
本文:
〇〇株式会社 御中
突然のご連絡失礼いたします。
弊社はリスト作成ツールを提供している△△です。
いまなら初期費用無料で導入可能です。
ぜひ一度お打ち合わせのお時間をいただけないでしょうか……
これでは「ただのDM」として即座に削除されます。
【After】転送・開封されるメール
件名:貴社「新規開拓事業」に関する提携のご相談
本文:
〇〇株式会社
代表窓口ご担当者様
突然のご連絡にて恐れ入ります。
株式会社△△の佐藤と申します。
本日は、貴社の営業部門の責任者様、または新規事業のご担当者様へ
本メールをお取り次ぎいただきたくご連絡いたしました。
弊社では現在、貴社の〇〇事業の拡大に寄与できる……
このように「取り次ぎ依頼」をメインにすることで、受付の心理的ハードルを下げることができます。
代表アドレス特有の「リスク管理」と「マナー」
代表アドレスへのアプローチは効果的ですが、一方で「不特定多数が管理している」ため、クレームや迷惑メール報告を受けやすいというリスクもあります。
一斉送信の数を絞り、分散させる
到達率を高めるためにも、一度に大量送信するのではなく、小分けにして送信することをお勧めします。
「配信停止」への配慮を徹底する
共有アドレスであるがゆえに、関係のない部署の人がメールを見ることもあります。
「二度と送らないでほしい」と思った人がすぐに配信停止できるよう、メールの冒頭や末尾に分かりやすく解除リンクを設置するのがマナーであり、スパム報告を防ぐ防波堤となります。
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そもそも、過去にクレームになったアドレスや、存在しないアドレスへ送り続けることはドメイン評価を下げる最大の要因です。
当社では、2019年以降の配信停止・特電法拒否データを蓄積し、リスクのあるアドレスを完全除外した「安全で反応率の高いリスト」のみを提供しています。
まとめ:info@ は「ゴミ箱」ではなく「受付窓口」である
リアルな飛び込み営業であれば、受付の方に「社長をお願いします」といきなり言ったりせず、「〇〇の件でご担当者様にお繋ぎいただけますか?」と丁寧に依頼するはずです。
メールも全く同じです。「info@だから適当に送っていい」のではなく、「info@だからこそ、丁寧に取り次ぎをお願いする」という意識を持つだけで、そこは決裁者への最短ルートに変わります。
▼ メール営業の成果を最大化する「全体戦略」を学ぶ
info@攻略はあくまで戦術の一つです。開封率の改善、ターゲット選定、法律知識など、メールマーケティングを成功させるための「全体像」を以下のページで体系的に解説しています。
代表アドレス送信に関するよくある質問
Q. info@宛てのメールは「特定電子メール法」の対象ですか?
はい、対象となります。代表アドレスであっても、営利目的で送信する以上は「オプトアウト(配信停止)の明記」や「送信者情報の表示」が義務付けられています。必ず法令を遵守して送信してください。
Q. 大企業(上場企業など)のinfo@にも効果はありますか?
正直なところ、大企業では効果が薄いです。大企業の場合、info@は完全にマニュアル化されたカスタマーサポート部門に繋がっていることが多く、個別の営業メールが担当部署に転送される可能性は極めて低いです。本記事のテクニックは、主に中小企業・小規模事業者をターゲットにする際に有効です。
Q. フォーム営業(お問い合わせフォーム)との違いは何ですか?
フォーム営業は到達率がほぼ100%ですが、入力に手間がかかります。対してメール営業(info@)は、ツールを使えば低コストで一斉配信できる点がメリットです。まずはメールで広くアプローチし、反応がない重要ターゲットにはフォームから送る、という使い分けが推奨されます。
本記事の執筆にあたり参照した文献・情報ソース
- 総務省・消費者庁:特定電子メールの送信等に関するガイドライン
- 一般財団法人日本データ通信協会:迷惑メール対策に関する技術・運用ガイドライン
- Sansan株式会社:BtoB企業のメールコミュニケーション実態調査
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