イノベーダー理論とは、社会学者のエヴェリット・ロジャース教授が1962年の「Diffusion of Innovation(イノベーション普及学)」で提唱したもので、別名を「普及学」と言います。
新しい商品やサービスで普及率の基準を論じており、

  • 初期市場(イノベーターとアーリーアダプター)
  • メインストリーム市場(アーリーマジョリティとレイトマジョリティ)

の2つの市場を分け、社会的に商品やサービスが普及していく様子を説明しています。2つの市場は4つに分類され、各購入者層への浸透具合で新しい商品やサービスの売れ行きも決まってきます。

ラガードと呼ばれる層も含め、無駄のない普及率を目指すために必要なものであり、購入者層への働きかけを判断するために役立てられるのがイノベーダー理論となります。

イノベータのイメージ画像
Pixabay画像:イノベータのイメージ画像

イノベーダー理論で分けられる5つの層とは

イノベーダー理論では購入者を5つの層に分け、

  • イノベーター(革新者)2.5%
  • アーリーアダプター(初期採用者)13.5%
  • アーリーマジョリティ(前期追随者)34%
  • レイトマジョリティ(後期追随者)34%
  • ラガード(遅滞者)16%

と名付けています。

イノベーダーは、要不要に関係なく新しい商品やサービスを求める層です。使用感よりも「新しさ」に重点を置き商品を購入しますが全体で見ると少人数となります。

アーリーアダプターは、情報感度が高く新商品の普及成功には重要な存在です。目新しさと共に使用面も考慮して購入するため、オピニオンリーダーとして注目されます。

アーリーマジョリティは、買って損のないものを選ぶ層です。安心感を重視しながらも新しさを求める層でもあります。

レイトマジョリティは、安心感を重視する層で新しい商品に対して懐疑的な行動を取りがちです。商品やサービスの普及が市場の半数を超えて初めて商品の購入を決めるため、フォロワーとも呼ばれます。

ラガードは、伝統主義者とも呼ばれる層で新しいものへの購入意欲が少なく、保守的であるため最終的に買わない傾向にあります。
商品やサービスを浸透させ効率的なマーケティングを行うためには、イノベーダー理論の活用は重要なものとなります。

イノベーダー理論での各層の割合

商品やサービスを普及させるには、全体の2.5%であるイノベーダーに手に取って持ってもらうだけでなく、

  • アーリーアダプター
  • アーリーマジョリティ
  • レイトマジョリティ

の3層の購入者への働きかけも重要となります。

アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にある価値観の違いから起こる「キャズム」と言われる深い溝の埋め立てが存在したままだと、商品やサービスは普及しないためキャズムを取り除く必要があります。

普及成功には、

  • オピニオンリーダーであるアーリーアダプターが費用対効果や品質を理解
  • アーリーマジョリティにオピニオンリーダーの意見を発信して購入意欲

が大切で、2つの層の理解や意欲を得られるよう働きかけていきます。

イノベーダーとアーリーアダプターが属する「初期市場」は合わせても16%です。それに対して「メインストリーム市場」のアーリーマジョリティとレイトマジョリティは共に34%で68%となります。

「メインストリーム市場」と「初期市場」のキャズムが埋まり、レイトマジョリティの34%まで獲得すれば、市場への普及は84%となるのです。

16%のラガードの取り込みよりも、イノベーダーと前述の3つの層への活動で、商品やサービスの市場への普及は高まります。

イノベーダー理論の成功を目指して

戦略的マーケティングの成功とは、半数以上の購入者へ商品やサービスの魅力を伝えるものです。商品やサービスを理解して安心して新しい情報を得てもらえるよう、市場への普及率を高めるようマーケティングを行う必要があります。

イノベーダーからレイトマジョリティまで層ごとに適した戦略的マーケティングを行えば、市場への普及率も高まります。購入率の低いラガードの取り込みよりも、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にあるキャズムを埋めることが重要なのです。

マーケティング戦略(Marketing strategy)とは


(この記事は2014年に掲載した記事を2015年と2022年に加筆修正更新したものです)