BtoBのWeb広告選び方ガイド|種類一覧と費用対効果を高める必勝パターン

「Web広告を始めたいが、種類が多すぎて何を選べばいいかわからない」
「DSPやRTBなど、横文字の専門用語ばかりで理解が追いつかない」
多くのBtoBマーケティング担当者が、このような悩みを抱えています。Web広告の世界は技術進化が速く、新しい手法が次々と生まれています。しかし、BtoBビジネスにおいて成果を出すために必要な「本質」は変わりません。
それは、「自社の商品を探している人(顕在層)」と「まだ課題に気づいていない人(潜在層)」のどちらにアプローチするかを決めることです。
この記事では、BtoB企業が利用すべきWeb広告の種類を体系的に解説します。単なる用語集ではなく、自社のフェーズに合わせた「選び方」と、成果を最大化するための「組み合わせ戦略」を、専門家の視点でわかりやすく紐解きます。
- 1. Web広告の全体像と「2つの型」【基礎知識】
- 2. 顕在層を逃さない「検索連動型広告(リスティング)」
- 3. 潜在層へアプローチする「ディスプレイ広告」
- 4. 広告配信の裏側「アドテクノロジー」の仕組み
- 5. ビジネス属性で絞り込む「BtoB向けSNS広告」
- 6. 信頼と理解を深める「動画・ネイティブ広告」
- 7. 広告費の決まり方と「見るべき重要指標」
- 8. BtoBマーケティングの「勝ちパターン」構築
- 9. Web広告の弱点を補う「プッシュ型営業」との併用
- BtoBのWeb広告に関するよくある質問
- 10. まとめ:自社の課題に合わせた広告を選ぼう
- BtoBの新規開拓なら「FaxDM屋ドットコム」にお任せください
1. Web広告の全体像と「2つの型」【基礎知識】
【この章の要約】
Web広告は無数に存在しますが、大きく分けると「プル型(検索連動)」と「プッシュ型(ディスプレイ・SNS)」の2種類に分類されます。BtoBでは、ユーザーの検討段階(今すぐ客か、そのうち客か)に合わせて、この2つを使い分けることが戦略の第一歩です。
1-1. オフライン広告とWeb広告の決定的な違い
テレビCMや看板、雑誌広告といった従来の「オフライン広告」と、Web広告には決定的な違いがあります。それは「数値による効果測定ができるか否か」です。
Web広告は、「何回表示され、誰がクリックし、いくらで問い合わせに繋がったか」がすべてデータとして可視化されます。つまり、出した出しっぱなしではなく、運用しながら改善し続けることができるのが最大の特徴です。これを「運用型広告」と呼びます。
1-2. 「プル型」と「プッシュ型」のマトリクス
広告手法を選ぶ際は、ユーザーの心理状態に合わせて以下の2つを使い分けます。
| 分類 | ユーザーの状態 | 主な手法 | BtoBでの役割 |
|---|---|---|---|
| プル型 (検索) |
悩みがあり、解決策を能動的に探している (顕在層) |
・リスティング広告 ・SEO(自然検索) |
「刈り取り」 今すぐ解決したいニーズを確実に捉え、問い合わせを獲得する。 |
| プッシュ型 (ディスプレイ) |
悩みはあるが、具体的な解決策を知らない (潜在層) |
・ディスプレイ広告 ・SNS広告 ・動画広告 |
「認知・育成」 自社の存在を知らせ、興味を喚起してサイトへ誘導する。 |
予算が限られているBtoB企業は、まずは成約に近い「プル型(リスティング広告)」から始め、徐々に「プッシュ型」へ広げていくのがセオリーです。
2. 顕在層を逃さない「検索連動型広告(リスティング)」
【この章の要約】
ユーザーがGoogleやYahoo!で検索したキーワードに連動して表示される広告です。「〇〇 システム 比較」など、購買意欲の高いユーザーにピンポイントで訴求できるため、BtoBにおいて最も即効性が高く、費用対効果が良い手法です。
2-1. リスティング広告の仕組み
リスティング広告(検索連動型広告)は、検索結果画面の上部や下部に「スポンサー」として表示されるテキスト広告です。
最大の特徴は、「ユーザーが今まさに探しているタイミング」で広告を出せることです。例えば「法人営業 リスト作成」と検索した人は、明らかにリスト作成ツールや代行業者を探しています。ここに広告を出せば、高い確率でクリックされ、商談につながります。
2-2. BtoBで狙うべきキーワード選定
成功の鍵は「キーワード選び」にあります。BtoBでは以下の3つの視点が重要です。
- 指名キーワード:社名や製品名。(例:「FaxDM屋ドットコム」)
- 検討キーワード:導入を検討している。(例:「営業代行 費用」「MAツール 比較」)
- 課題キーワード:悩み解決を探している。(例:「新規開拓 方法」「アポが取れない」)
まずはコンバージョンに近い「指名」と「検討」キーワードから入札を始めましょう。逆に、個人向けのキーワード(例:「営業 アルバイト」)などは除外キーワードとして設定し、無駄なクリックを防ぐことが大切です。
2-3. Google広告とYahoo!広告の使い分け
国内の主要媒体はGoogleとYahoo!の2強です。BtoBでは一般的にGoogleのシェアが高い傾向にありますが、業種によってはYahoo!(経営層や年配層が利用)の効果が高い場合もあります。基本はGoogleから始め、予算に余裕があればYahoo!へ広げると良いでしょう。
詳しくはGoogle広告の特徴およびYahoo!広告の特徴の記事も参考にしてください。
3. 潜在層へアプローチする「ディスプレイ広告」
【この章の要約】
Webサイトやアプリの広告枠に、画像(バナー)や動画を表示させる手法です。まだ自社を知らない層への「認知拡大」や、一度サイトを訪れた人を追跡する「リターゲティング」に利用されます。視覚的な訴求力が強みです。
3-1. GDNとYDA(旧YDN)
ディスプレイ広告の代表格が、Googleが提供するGDN(Googleディスプレイネットワーク)と、Yahoo!が提供するYDA(Yahoo!ディスプレイ広告)です。
これらを利用することで、食べログやYouTube、アメブロ、大手ニュースサイトなど、提携する数百万のWebサイトに広告を配信できます。ユーザーがニュースを読んでいる時やブログを見ている時に表示されるため、「プッシュ型」の側面を持ちます。
3-2. 追いかけて成約させる「リターゲティング」
BtoBマーケティングで絶対に外せないのが、リターゲティング(リマーケティング)です。
BtoBの商材は検討期間が長く、一度サイトを見ただけで即決するケースは稀です。リターゲティングを使うと、「一度自社サイトを訪れたが、問い合わせせずに離脱した人」に対して、他サイトを見ている最中に再び広告を表示できます。「あのサービス、良さそうだったな」と思い出させ、再訪問を促す強力な手法です。

図解:離脱したユーザーを追跡して呼び戻す「リターゲティング」の仕組み
4. 広告配信の裏側「アドテクノロジー」の仕組み
【この章の要約】
「枠」を買う時代から「人」を買う時代へ。DSPやRTBといったアドテクノロジーの登場により、性別・年齢・興味関心などのデータを元に、ターゲットとなる人物にだけ瞬時に広告を配信することが可能になりました。
4-1. 枠から人へ:プログラマティック広告
昔のWeb広告は「特定のWebサイトのトップページに看板を出す」という、場所(枠)を買う形式が主流でした。しかしこれでは、そのサイトを見ているターゲット以外の人にも表示され、無駄が生じます。
現在主流の「プログラマティック広告」は、データに基づき「どのような人に表示するか」を自動で買い付けます。例えば「都内在住の30代で、最近ITツールについて調べている人」だけに、どのサイトにいても広告を出すことができます。
4-2. DSPとRTBの簡単な解説
この仕組みを支えているのが、以下の技術です。
- DSP(Demand-Side Platform):
広告主(あなた)が使うツール。「CPAを〇〇円以下に抑えたい」「30代男性に配信したい」といった条件を設定します。
詳細:DSPとは?仕組みを解説 - SSP(Supply-Side Platform):
メディア(Webサイト側)が使うツール。広告枠を最も高く買ってくれる広告主を自動で探します。 - RTB(Real-Time Bidding):
DSPとSSPの間で、広告が表示される瞬間に(0.1秒以下で)行われるオークションシステムです。「このユーザーへの表示権」をリアルタイムに入札・落札します。
詳細:RTB(リアルタイム入札)とは

図解:0.1秒で行われる広告枠のオークション「RTB」の仕組み
5. ビジネス属性で絞り込む「BtoB向けSNS広告」
【この章の要約】
SNSはもはやプライベートな遊び場だけではありません。FacebookやLinkedInなどは実名制の登録情報を持ち、職種や役職でのターゲティングが可能です。決裁者に直接アプローチできる有効な手段です。
5-1. Facebook広告(Meta広告)
BtoBで最も利用されるSNS広告です。Facebookはビジネス目的で利用しているユーザーが多く、「勤務先」「役職」「業界」などの精度高いデータを持っています。「経営者層」や「IT部門のマネージャー」など、狙った決裁者に絞って広告を出せる点が最大の強みです。Facebook広告の活用法もご覧ください。
5-2. LinkedIn広告・X(旧Twitter)広告
- LinkedIn(リンクトイン)広告:
世界最大のビジネス特化SNS。日本でも外資系企業やIT感度の高いビジネスパーソンに普及しています。職種やスキルでのターゲティングが可能で、非常にBtoB向きです。 - X(旧Twitter)広告:
拡散力が強みです。「〇〇に関心があるキーワードをつぶやいた人」や「競合他社のアカウントをフォローしている人」といった独自のターゲティングが可能です。
6. 信頼と理解を深める「動画・ネイティブ広告」
【この章の要約】
テキストや画像だけでは伝わらない複雑な商材(SaaSや無形サービス)には、動画広告が有効です。また、記事コンテンツのように見せて自然に読ませるネイティブアドは、広告嫌いのユーザーにも受け入れられやすい手法です。
6-1. YouTube広告(TrueView)
製品のデモンストレーションや、導入事例のインタビューなど、15秒〜数分の動画で情報を伝えます。テキストを読むのが面倒な層にもアプローチでき、サービスの理解度を一気に高めることができます。
6-2. ネイティブアド(インフィード広告)
ニュースサイトの記事一覧の中に、「PR」と小さく表記されて混ざっている広告です。広告色が薄く、読み物としてクリックされるため、潜在層への啓蒙活動(コンテンツマーケティング)と相性が良い手法です。詳細な種類はネイティブアドとはで解説しています。
7. 広告費の決まり方と「見るべき重要指標」
【この章の要約】
Web広告の多くは「入札制」です。予算管理を誤らないために、代表的な課金方式(CPC・CPM)と、成果を測る指標(CPA・ROAS)を理解しておきましょう。BtoBでは、リード獲得単価(CPA)の設定が肝になります。
7-1. 主な課金方式(CPCとCPM)
- CPC(クリック課金):
広告がクリックされた時だけ費用が発生します。リスティング広告の基本です。表示されるだけなら無料なので、無駄なコストを抑えられます。詳細:CPCとは - CPM(インプレッション課金):
広告が1,000回表示されるごとに費用が発生します。クリック率が高い広告の場合、CPCよりも割安になることがありますが、認知目的で使われることが多いです。
7-2. 必ず見るべき指標:CPA(獲得単価)
BtoB広告運用で最も重要なのがCPA(Cost Per Action)、つまり「見込み客1件を獲得するのにいくらかかったか」です。
例えば、広告費を10万円使い、問い合わせが10件あれば、CPAは1万円です。自社の商材が売れた時の利益から逆算し、「CPAが1万5千円以内なら黒字」といった目標ライン(許容CPA)を設定して運用します。
8. BtoBマーケティングの「勝ちパターン」構築
【この章の要約】
単一の広告手法だけで成果を出し続けるのは困難です。リスティングで顕在層を獲りつつ、リターゲティングで取りこぼしを防ぎ、Facebook広告で決裁者を狙うといった「組み合わせ」が成功の鍵です。
8-1. 【鉄板】リスティング × リターゲティング
予算が少ない中小企業でも実践すべき最強の組み合わせです。まずはリスティング広告で「今探している人」を集客します。しかし、BtoBでは即決しないユーザーが大半です。そこで、離脱したユーザーをリターゲティング広告で追跡し、比較検討のタイミングで自社を思い出してもらいます。
8-2. ランディングページ(LP)の重要性
どれだけ広告で集客しても、飛び先のページ(ランディングページ)が魅力的でなければ、穴の空いたバケツに水を入れるようなものです。「売れるLPの構成」を整え、問い合わせフォームへの入力をスムーズにするLPO(最適化)を行うことが、広告効果を最大化する必須条件です。

図解:Web広告(空戦)とFAXDM(地上戦)で成約を挟み撃ちにする「クロスメディア戦略」
9. Web広告の弱点を補う「プッシュ型営業」との併用
【この章の要約】
Web広告は優秀ですが、「ユーザーからの検索やアクセスを待つ」という受動的な側面があります。競合が多くクリック単価が高騰している場合や、Webをあまり見ない層には、こちらから能動的に届ける「攻めの手法」を併用しましょう。
9-1. Web広告の限界と「待ち」のリスク
人気のあるキーワードは、競合他社もこぞって入札するため、クリック単価(CPC)が高騰しがちです。1クリックに数千円かかることも珍しくありません。また、現場の担当者や地方の経営者など、Web検索をあまり行わない決裁者層には、デジタル広告だけではリーチできないのが現実です。
9-2. FAX・メールで「指名検索」を生み出す
そこで有効なのが、保有しているリストや企業のデータベースに対して直接アプローチする「メール営業」や「FAXDM」です。
これらはWeb広告とは異なり、こちらからターゲットを選んで情報を届けることができます。例えば、FAXDMでセミナー案内やホワイトペーパーの告知を送り、興味を持った人に「〇〇で検索」と促すことで、Webサイトへの指名検索を増やすことができます。
Web広告(空戦)と、ダイレクトアプローチ(地上戦)を組み合わせることで、競合がいない場所で独占的に商談を生み出すことが可能になります。
Web広告だけでは届かない層へアプローチしませんか?
FaxDM屋ドットコムでは、700万件以上の企業リストから、業種や地域を絞って「メール」や「FAX」を一斉配信できるサービスを提供しています。Web広告のリターゲティングリストを貯めるための集客手段としても最適です。
- 特定電子メール法対応:法令遵守の営業メールリストで安全に配信
- FAXDM代行:開封率100%の紙メディアで決裁者の手元に届ける
- リストのみ購入も可:最新の企業データベースを活用
BtoBのWeb広告に関するよくある質問
Q. BtoB広告の予算は最低いくらから始めるべきですか?
A. リスティング広告であれば、月額3〜5万円程度からスモールスタートすることをお勧めします。最初から数十万円をかけるのではなく、CPA(獲得単価)を見ながら徐々に増額するのが失敗しないコツです。
Q. Google広告とFacebook広告、どちらを優先すべきですか?
A. 目的によります。「今すぐ客」を狙うなら検索連動型のGoogle広告、「決裁者への指名買い・認知」を狙うなら精度高く役職指定ができるFacebook広告が推奨されます。多くのBtoB企業は両方を併用しています。
Q. 広告を出しても問い合わせが来ない場合はどうすれば良いですか?
A. 多くの原因は「広告文」ではなく「飛び先のページ(LP)」にあります。LPのファーストビューでメリットが伝わっているか、入力フォームが複雑すぎないか(EFO)を見直してください。また、リターゲティング広告で追客することも有効です。
参考サイト・出典:
10. まとめ:自社の課題に合わせた広告を選ぼう
Web広告は魔法の杖ではありませんが、正しく選定し運用すれば、24時間365日働き続ける優秀な営業マンになります。
- まずは「誰に届けたいか(ターゲット)」を明確にする。
- 顕在層向けの「リスティング広告」からスモールスタートする。
- アクセスが集まってきたら「リターゲティング」で追客する。
- Webの反応が鈍ければ、「メール・FAX」で能動的に攻める。
この手順で進めれば、無駄な予算を使わず、着実にBtoBマーケティングの成果を積み上げることができるでしょう。まずは自社の課題が「集客数」なのか「成約率」なのかを見極め、最適な一手を選んでください。
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